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思い浮べる
「思い浮べる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い浮べるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ク》な傾向がある。彼はこの風呂の湯気の中に、彼が描こうとする小説の場景の一つを、
思い浮べるともなく思い浮べた。そこには重い舟日覆《ふなひおい》がある。日覆の外の....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
ていたり、電車に乗っていたりする間《あいだ》にふと過去の一情景を鮮《あざや》かに
思い浮べることがある。それは従来の経験によると、たいてい嗅覚《きゅうかく》の刺戟....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
するだけ猶《なお》強く聞える。音から聯想《れんそう》して白い波、蒼《あお》い波を
思い浮べると、もう番神堂が目に浮んでくる。去年は今少し後であった。秋の初め、そう....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
ったく俺自身の心得違いではあるまいかと、思い直そうとした。が、山野の皮肉な笑顔を
思い浮べると、すぐむらむらとした嫉妬と反感が俺の全身を襲う。俺はどうしても、あい....
「出世」より 著者:菊池寛
たちのセピア色の事務服などが頭に浮んだ。その人たちの顔も、たいていは空《そら》で
思い浮べることがあった。 「ああそうそう、あの下足番もいるなあ」と思った。あの下....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
はたらいたためである。訳しながらも時々この二〇年の昔に見た童顔に浮ぶ温雅な微笑を
思い浮べるのであった。 この書の翻訳としては先に亡友一戸直蔵君の『宇宙開闢論史....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
の間には、子供が一人あった。女は愚痴話をしながら、家に残して来たその子供のことを
思い浮べると、酔も醒めたように、ふと押黙って溜息をつく。 最初のうちは、夢のよ....
「メールストロムの旋渦」より 著者:佐々木直次郎
が思い出された。これ以上に痛ましくも荒寥とした展望は、どんな人間の想像でも決して
思い浮べることができない。右を見ても左を見ても眼のとどくかぎり、恐ろしいくらいに....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
神戸を散歩する頃、私はいつも渡欧の途中、上海や香港へのヘルメット姿における上陸を
思い浮べる。私自身が船を突堤にすてている旅行者の心となる処に、甚だ軽快な味を感じ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
に巻いているのではなかろうか。それも好い。 鶴見はここであの才気の勝った風貌を
思い浮べる。鴎外には人を人とも思わぬしたたかな魂があって、我を我とも思わぬのでは....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
にはもうまるで遠い昔の夢のような気が致しますのじゃ。……(翁は無限に遠くの世界を
思い浮べる心)……おう、あれはいつのことじゃったろう?……貴方はあれがどこから生....
「歴史的探偵小説の興味」より 著者:小酒井不木
秘的な、怪奇的な奥床しい気分をそそると同じように、過去の時代即ち想像によってしか
思い浮べることの出来ぬ時代もそれと同じような気分を湧かすからである。 岡本綺堂....
「罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
い血潮を流しながら、彼の足許でヒクヒクと四肢を顫わして、息の絶えて行く哀れな姿を
思い浮べると、彼は鳥渡愉快だった。玉島を殺せば玉島の為に苦しめられている幾人かの....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
ころに、すぐ顎がくっついていたりする。彼が新聞紙の広告の中の日本アルプスの連峰を
思い浮べるというのも、この辺に深い心理があるのである。何が幸いとなるやら実際わか....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
ている、という自尊心の満足を思い出す必要があった。そして、ぼくは轡川の顔をふっと
思い浮べると、轡川はぼくを明日子から遠ざけようとして種々の策略を弄したけれど結局....