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「思い詰める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思い詰めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
薤露行」より 著者:夏目漱石
のみ誓とはいわじ。われとわが心にちぎるも誓には洩《も》れず。この誓だに破らずばと思い詰める。エレーンの頬の色は褪《あ》せる。 死ぬ事の恐しきにあらず、死したる....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
を数十年の後《のち》に認識する。エレーンがランスロットに始めて逢う、この男だぞと思い詰める、やはり父母未生《ふもみしょう》以前に受けた記憶と情緒《じょうしょ》が....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
な安易さだった。 かの女はまた情熱のしこる時は物事の認識が極度に変った。主観の思い詰める方向へ環境はするする手繰られて行った。 身体に一本の太い棒が通ったよ....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
めき暮らして居る惨な生物に過ぎないんですな。」私「そうですね。でも、そういう風に思い詰めるどんづまりに、また反撥心も起って、お祭騒ぎや、主義や理想も立て度くなる....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
そう言ったよ。あの時は、お粂さんもまだ植松のお嫁さんに行かない前で、あれほど物を思い詰めるくらいの娘だから、こう顔を伏せて、目の縁の紅く腫れるほど泣きながら、飛....
新世帯」より 著者:徳田秋声
まうと、新吉はいつでも気の脱けた顔をして、つまらなそうに考え込んでいる。何や彼や思い詰めると、あくせく働く甲斐がないようにも思われた。 忙しい十二月が来た。新....
老年と人生」より 著者:萩原朔太郎
執しているところの、極《きわ》めて偏狭なモノマニア的のものである。彼らは何事かを思い詰めると、狂人の如くその一念に凝り固まり、理想に淫《いん》して現実を忘却して....
十二支考」より 著者:南方熊楠
えばすなわち息《や》む、竜は卵生にして思抱す〉(思抱とは卵を生んだ親が、卵ばかり思い詰める力で、卵が隔たった所にありながら孵《かえ》り育つ事だ。インドにもかかる....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
と、代を重ねるうちにダンダン非道くなる事がある。たとえば或る一つの事をどこまでも思い詰める癖を遺伝した女が、どうかした拍子に或る一人の男を見初めたとする……寝て....
焦点を合せる」より 著者:夢野久作
奴は身投げぐらい、しかねないんだ。毛唐なんて存外、気の小さいもんだからね。すぐに思い詰める奴が出て来るんだ。その証拠に、明日明日で云い抜けながら仕事をして行くう....
産屋物語」より 著者:与謝野晶子
た女の仇ではないか。日頃の恋も情愛も一切女を裏切るための覆面であったか。かように思い詰めると唯もう男が憎いのです。 しかし児供が胎を出でて初声を挙げるのを聞く....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、ソトわが胸を撫でて見つ。 「薄着のせいかね、動悸がしてるよ。お前さん、そんなに思い詰めるものではないわ。そりゃお雪さんのことを忘れないで、心配をしておあげなの....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
好人物らしい。そうしてとうてい及ばない恋に、夢中になっているらしい。こういう男が思い詰めると、どんな事をやり出すかわからない」つまりこんなように思ったからであっ....
魔像」より 著者:林不忘
お母さんといい、あんまりといえばあんまりなしうち……娘ごころは、ひたむきである。思い詰めると、お可哀そうなのは喬様おひとり、ああ思い切るまでには、よくよくのこと....
勘平の死」より 著者:岡本綺堂
めよる。) 半七 (しずかに。)それだけの話を聴いたところじゃあ、お前さんがそう思い詰めるのも無理じゃあねえが……。 文字清 無理どころか、まったくそれに相違な....