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思い返す
「思い返す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い返すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「入れ札」より 著者:菊池寛
かった! うそをついた俺を叩っ切ってくれ! 九郎助 (脇差に手をかける、が、すぐ
思い返す)よそう。たった一人の味方と思う手前にだって、心の中では意気地なしと見限....
「俊寛」より 著者:菊池寛
こそ、ついのすみかだ。あらゆる煩悩と執着とを断って、真如の生活に入る道場だ。そう
思い返すと、俊寛は生れ変ったような、ほがらかな気持がした。 ふと、寝がえりを打....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
の艇は、今穏かなる航空を続けている。 あの引力平衡圏離脱の前後の大難航のことを
思い返すと、只もう悪夢をみていたとしか、考えられない。あのとき僕は、遂に気をうし....
「死者の書」より 著者:折口信夫
おざらぬが、あちらの物は、読んで居て、知らぬ事ばかり教えられるようで、時々ふっと
思い返すと、こんな思わざった考えを、いつの間にか、持っている――そんな空恐しい気....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
の特殊な笑顔を見た時に私の全身の血が一時に頭の方へ駆け上るような気がした。そして
思い返す間のないうちに 「それじゃあ、交番へ来てくれたまえ」とついこんな事を云っ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ってしまっているのだ。 軽井沢へなど行かなければ……と、やや涙の納まったひまに
思い返すと、悪夢のような昨日のことが、準之助氏の面影と共に、ハッキリと甦って来た....
「二十世紀の頂における図書館の意味」より 著者:中井正一
争の危機に直面しているとすれば、あらゆる書籍は、「人類が言語を発見していることを
思い返すべきである」と叫びつづけている。 百年の戦争の継続があっても、その結末....
「銀座」より 著者:永井荷風
割から堀割をつたわって行ったとかいわれた話をば、いかにも遠い時代の夢物語のように
思い返す。自分がそもそも最初に深川の方面へ出掛けて行ったのもやはりこの汐留《しお....
「里の今昔」より 著者:永井荷風
治三十年頃、わたくしが『たけくらべ』や『今戸心中』をよんで歩き廻った時分のことを
思い返すと、大音寺の門は現在電車通りに石の柱の立っている処ではなくして、別の処に....
「妾宅」より 著者:永井荷風
《ぼんぷ》の身の悲しさに、珍々先生は昨日《きのう》と過ぎし青春の夢を思うともなく
思い返す。ふとしたことから、こうして囲《かこ》って置くお妾《めかけ》の身の上や、....
「十九の秋」より 著者:永井荷風
。かつてわたくしが年十九の秋、父母に従って上海《シャンハイ》に遊んだころのことを
思い返すと、恍《こう》として隔世の思いがある。 子供の時分、わたくしは父の書斎....
「向島」より 著者:永井荷風
ようになってしまったので、その後わたくしは一度も河船には乗らないようになったが、
思い返すとこの河水も明治大正の頃には奇麗《きれい》であった。 その頃、両国《り....
「大会を終りて」より 著者:中井正一
媒介にあらず、それが、「論理」と「現実」に密着することの上に打ち立てられたことを
思い返すとき、私たちはもはや孤独ではない。 図書館を社会教育法の仕上げのかたち....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
の限り拒否した。けれども免れようもない反動はすぐきた。エセックス事件をまざまざと
思い返す心の重みで、彼女の神経組織はだんだんに崩れていった。気質はいままでにも増....
「夢幻泡影」より 著者:外村繁
いうよりは、ふと、再びその音に気づいたとき、今までのその音の無い数刻を何か空しく
思い返すのである。不思議なことには、そういうとき聞く、時計の音というものは、一種....