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「思わせ振り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思わせ振りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
セメント樽の中の手紙」より 著者:葉山嘉樹
箱には何にも書いてなかった。そのくせ、頑丈《がんじょう》に釘づけしてあった。 「思わせ振りしやがらあ、釘づけなんぞにしやがって」 彼は石の上へ箱を打《ぶ》っ付....
風の便り」より 著者:太宰治
ようとしている。行きづまった、けれどもその理由は、申し上げません等と、なんという思わせ振りな懦弱《だじゃく》な言いかたをするのだろう。ひどい圧迫を受けているのだ....
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
すか」でありました。その返事を聞けなかった事がぼくの心残りだと、この手記の始めに思わせ振りに書いて置きました。然《しか》し、聞いたからとて今思えばなんになろう。....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
うして歩いているところを見たら、ひとはどう思うでしょうかね?」 というような、思わせ振りな言葉はあくまで警戒していた。つまり、教養ある女をいっぺんにうんざりさ....
正義と微笑」より 著者:太宰治
直に行動しよう。知らない事は、知らないと言おう。出来ない事は、出来ないと言おう。思わせ振りを捨てたならば、人生は、意外にも平坦なところらしい。磐の上に、小さい家....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
探偵はシャーロック・ホームズでもフィロ・ヴァンスでもソーンダイクでもポワロでも、思わせ振りな言葉を時々出すばかりで最終の章まで自己のシーオリーを少しも云わないの....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
、この夕暮を退屈そうに、今|流行《はやり》恋慕流しの一節が――。 「君は五月雨思わせ振りや いとど焦るる 身は浮き舟の 浪に揺られて 島磯千鳥――」 ....
清貧の書」より 著者:林芙美子
欲しかったのではあったが、枕は一ツでよいと云う風な、少々ばかり呆《ぼ》やけさせた思わせ振りを書き送ってやったのである。すると最も田舎風な、黒塗《くろぬ》りの枕を....
華々しき一族」より 著者:森本薫
風 俺だって厭だよ、だが、向うでも何か言うことがあると言ってる。 諏訪 あなたが思わせ振りをなさるからよ。 鉄風 それだけのものかな。 諏訪 そんなことわからな....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
が録音を無意味に強調したために、映画自身を歪曲したように、今日のラジオは音による思わせ振りなどが多くて、耳への印象自身を傷けてさえいる。がそれは聴覚の自然的制限....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
ころがし。その間にけばけばしい色彩で壁に淫靡な裸体女と踏み躙られた黒人を描いて、思わせ振りな暗い入口が五六段の階段の上についている|食しんぼう小屋のようなものが....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
れに最早、何うも嫁いているらしい。屹度それに違いない。」と言うと、婆さんは此度は思わせ振りに笑いながら、 「へ……奴なんて、まあ大層お雪さんが憎いと思われますね....
千世子(三)」より 著者:宮本百合子
きいた。 「影っ坊師を見て居るんですよ隣りの女中の。 影っ坊師って何だか妙に思わせ振りなもんですねえ。 「女中の? 私はねよくそう思いますよ、 女中って....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
は喫茶店にでも誘いたかったのだが、言い出せなかった。疲れたとか、咽喉が乾いたとか思わせ振りなことを言うと、彼女は察して、お茶でものもう、と言った。近くの「銀砂」....
それから」より 著者:夏目漱石
る程、低級趣味のものではないと自信している。凡《およ》そ何が気障《きざ》だって、思わせ振りの、涙や、煩悶《はんもん》や、真面目《まじめ》や、熱誠ほど気障なものは....