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「思惑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思惑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
れは彼等にはどちらでも善かった。が、重吉は舅《しゅうと》よりも寧《むし》ろお鈴の思惑を考え、半月形の窓越しに熱心に事務員と交渉した。 「実は手遅れになった病人だ....
煙管」より 著者:芥川竜之介
して、また、金だと云うのだい。」了哲の自信は、怪しくなったらしい。 「手前たちの思惑《おもわく》は先様《さきさま》御承知でよ。真鍮と見せて、実は金無垢を持って来....
」より 著者:芥川竜之介
のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師《あまほうし》でございました。しかも娘の思惑《おもわく》を知ってか知らないでか、膝《ひざ》で前へのり出しながら、見かけに....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
に承知の返事をかいた。しかし若い男がたびたび誘いに来られては、主人の手前、余人の思惑、自分もまことに心苦しいから、四条の河原で待ち合わせてくれと言ってやった。 ....
三人の双生児」より 著者:海野十三
んすよ」 「いいのネ、きっとよ。――」 と駄目を押して置いて、妾は秘めて置いた思惑をうちあけた。それはこの肩の凝りを癒すために今夜妾の室にきて妾だけにあの「海....
蠅男」より 著者:海野十三
貼りつけてあった紙を切りとって、一升桝ぐらいの四角な穴を明けていったらしい犯人の思惑だった。この穴からどうしたというのだろう。もし八尺の怪人間がいたとしたら、こ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
て、K・S氏に悪い印象を与えるような婦人であったら、K・S氏が今後むす子に対する思惑にも影響しまいものでもない。わけて女である新夫人も一緒にいることではあり、こ....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
なり立てなども面白かった。若い者は珍らしい一方で、散髪になりたくても、老人などの思惑を兼ねて、散髪の鬘を髷の上に冠ったのなどがありますし、当時の床屋の表には、切....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
5 なにがさて、気の短い金博士のことであるから、身の危険も、相手方の思惑も考えないで、その足でつかつかと某国大使館の玄関から押し入ったものである。 ....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
てくると、華やかに虎松を呼びつけて、過去一年間の捜索報告を聞くことにしたが、例の思惑からして、虎松に対しては非常に厳重な尋問態度を改めなかった。さてこそ虎松は、....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
は大学における剣術の達人であったので、剣術その他の練習の教授を申しいでて、自分の思惑を果たすほどの報酬を要求したのであった。その申しいでには学生たちも驚いた。し....
慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
鳥でも育たないことはないと言った。その高慢が少し面憎く思われたのか、それとも別に思惑があったのか、磯貝はきっと相違ないかと念を押すと、六兵衛はきっと受合うと強情....
馬妖記」より 著者:岡本綺堂
て置かれなくなって、かの弥次兵衛のいう通り、他領への聞えもあれば、領内の住民らの思惑もある。かたがたかの怪しい馬を狩り取れということになって、屈竟の侍が八十人、....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
ない、悪戯もこうなると念が入り過ぎているので放ってもおけず、それかといって家人の思惑もあるので、人に知れないように土蔵前へ連れて行き、よく訊いてみると、公高はい....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
まいました』 『だって御自分に疾ましい事がなければ構わないじゃありませんか、人の思惑なんか気にする事はないわ』 私は慰める積りで云ったんです。するとそれをどう....