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「思惟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思惟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
ばしば、両者に共通の媚態そのものが趣味の上下によって異なった様態を取るものとして思惟《しい》される。たとえば「意気にして賤《いや》しからず」とか、または「意気で....
富士」より 著者:岡本かの子
たるにも非ざる中間に於て悠久なるものを情緒に於て捉《とら》えようとするかれ持前の思惟の仕方を続けている。水のいろをかがり火のまわりに浸して静に囲んでいる。 か....
食魔」より 著者:岡本かの子
ず、これだけのもの」に過ぎなかった。彼は衒学的な口を利くことを好むが、彼には深い思惟の素養も脳力も無い筈である。 これは全く押し詰められた体験の感じから来たも....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ぎなかったではないか。それだのに法水は、それを犯罪分析の実際に応用して、空漠たる思惟抽象の世界に踏み入って行こうとする……。 「ああ私は……」と鎮子は露き出して....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
下に経験したときいまだ主もなく客もなき、知識と対象とが全く一致している、なんらの思惟も混じない事実そのままの現在意識をもって実在とするのであって、氏はこれを純粋....
学生と教養」より 著者:倉田百三
ムやカントが作りあげた認識主観の脈管には現実赤い血潮が通っているのでなくて、単に思惟活動として、理性の稀薄な液汁が流れているのみである」この紅い血潮は意志し、感....
恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
も、散歩をするにも、のべつ幕なしに議論をしたり。しかも議論の問題となるものは純粋思惟とか、西田幾太郎とか、自由意志とか、ベルグソンとか、むずかしい事ばかりに限り....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
こり授けてもろたらやれたのもしや と歌っている神だ。 「親鸞一人のために」五劫思惟してくれた仏だ。 ひそやかにたのしめと我にたまひつる 春やときはに花ぐもりし....
狂人日記」より 著者:秋田滋
七月二日―― 生きもの。――生きものとはそもいかなるものであろう。それは、思惟によって、万物を反映する。なお、記憶と意識とによって、世を要約し、世の歴史を....
旅客機事件」より 著者:大庭武年
重き鈍器にして、被害者の不意を見すまし、激しき勢を以て一撃のもとに行われしものと思惟さる。被害者即死。 「何と言っても、秀岡氏は他殺されているのだ。被害状態から....
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
て、かの少女の身上につき精細なる観察を下し、かつ適当なる試験を行わざるべからずと思惟し、まず杉本氏につきて同女の履歴をたずねしに、彼女はその名を「とく」といい、....
妖怪談」より 著者:井上円了
夫人の前に至らば、ただちにこれはわが父の頭字なりと感ず。また、そのつぎの字なりと思惟するがゆえに、微動と顔色とは時々刻々、術者の脳裏に印せらるるものであります。....
「日本民族」とは何ぞや」より 著者:喜田貞吉
民思想の根柢を固むるの資料を江湖に提供することを以て、目下における必要なる事業と思惟し、これを以て史家当然の責務の一つたることを自認するものである。余輩が微力を....
法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
らに対する可否軽重を判定するの能力なくして、いたずらに未解決の問題であるかの如く思惟するものの少くなかった事は、実に我が学界の恨事であった。しかしながら時はよく....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
無くなって来た。 自然彼等との応対交渉は冷淡になり、総ての情熱は内部に向っての思惟の座に注がれた。それは今まで友達に対して面白く賑かで親切であった慧鶴を急に、....