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「思春期〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思春期の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
職工と微笑」より 著者:松永延造
るか? 私には時々悪魔が取りつくのか? 幼い時に正しい愛で養育されなかった事、思春期に於ける修養を欠いた事、この二つは悪魔の大好物である。私は不当な変態心理の....
鉄鎚」より 著者:夢野久作
けど、この時ばかりは何故かしら特別のような気がした。……今から思うとこの時が私の思春期に入り初めで、同時にこの時こそ生涯の呪われ初めであったかも知れない。ちょう....
新ハムレット」より 著者:太宰治
。何を、ぼんやりしているのさ。此の頃なんだか眠たそうな顔ばかりしているようだが、思春期は、眠いものと見えるね。あたしにも苦しい事があるのよと思う宵にもぐうぐうと....
大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
種類に分類し得ると思う。参考のために、以下少しく、恋愛について述べよう。 一、思春期的恋愛。この時代の恋愛は、ただ無闇な、盲目的な情熱にうかされるのであって、....
死までを語る」より 著者:直木三十五
慣れてくると、私が一人で買出しに行ったり、弟を背負うて、母を連れずに行ったり――思春期前の少年だから、平気で 「この頭おくれ」 と、出汁にする鰻の頭を一皿買っ....
山吹町の殺人」より 著者:平林初之輔
ら次へと回想しはじめた。 関係! といっても、まことに他愛のないものではある。思春期の男子に通有の、一種の女性崇拝とでもいった心的状態が、偶然に崇拝の対象とし....
科学と文学」より 著者:寺田寅彦
を悟るであろう。「運命」はすなわち「方則」の別名なのである。 また、ある少女が思春期以前に暴行を受けてその時の心の激動の結果が、熱烈な宗教心となって発現する。....
方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
さまのことだけは、永遠に残るにちがいない……。そうして、末起は病む薔薇のように、思春期を暗い心で漂っていた。 ところが、それから四、五ヶ月経ったころふと、祖母....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ろしい惨劇を生んだのでしょう。 貴女が艇長を思慕する声は、同様に朝枝も唆って、思春期の憧れを、艇長に向けていたのですがいよいよあの手紙を見るに及んで、はしなく....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
尾道の自然は歌の材料にみちみちていた。少女の追憶は歌の思い出とからみ合って、私の思春期の絵本を美しくしているのである。 私たちは万葉集の恋歌を競って暗記した。....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
てて止めた。手が触れ合った。 「あっ」 栞の声が情熱をもって響いた。 「ああ」思春期の処女というものは、男性のわずかな行動によって、衝動を受けるものであり、そ....
海豹島」より 著者:久生十蘭
しな》わせると、屈折につれて天鵞絨のような毛のうえを素早く美しい光沢が走る。胸は思春期の少女のように嬌めかしい豊かな線を描き、手足のみずかきは春の霞のように薄桃....
兄妹」より 著者:岡本かの子
美しい男性的な声調に聞き惚れているのだ。だが、兄の語る言葉は、淋しくうら悲しい、思春期のなやみに哲学的な懐疑も交っているのだ。 ――国木田独歩は「驚き度い」と言....
健康三題」より 著者:岡本かの子
た。彼女は見つめて三昧に入り、ぶるぶると身ぶるいさえすることがあった。私はこれを思春期の変態の現われじゃないかと嫌な気がしたが、そうではないらしかった。健康なも....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
に私に文学の、芸能の、ことに寄席の救いがなかったら、良家に生まれてその家が潰れ、思春期に天涯孤独の身となった自分は、今時分薄志の不良青年となり、与三郎同様、佐渡....