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思議
「思議〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思議の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
は、腰にさしている笛を出して、独りでその音《ね》を楽しんでいました。するとまた不
思議なことには、どんな鳥獣《とりけもの》や草木《くさき》でも、笛の面白さはわかる....
「影」より 著者:芥川竜之介
は、今でも海が鳴っているらしい。
房子はしばらく立ち続けていた。すると次第に不
思議な感覚が、彼女の心に目ざめて来た。それは誰かが後にいて、じっとその視線を彼女....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
何度となく、すでに細君の従弟だと云う以上、芝居で挨拶を交すくらいな事は、さらに不
思議でも何でもないじゃないかと、こう理性に訴えて、出来るだけその男に接近しようと....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
ずにいたら、――いや、もうおぎんは顔を挙げた。しかも涙に溢《あふ》れた眼には、不
思議な光を宿しながら、じっと彼を見守っている。この眼の奥に閃《ひらめ》いているの....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
す。それでも、近所の評判は、その丁稚《でっち》の方が好《よ》いと云うのだから、不
思議でしょう。そのほかまだその通町《とおりちょう》三丁目にも一つ、新麹町《しんこ....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
いているという気がする。しかもその動いてゆく先は、無始無終にわたる「永遠」の不可
思議だという気がする。吾妻橋、厩橋《うまやばし》、両国橋の間、香油のような青い水....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
剛情に姉と一本の花簪を奪い合った。しかし頭のどこかには、実母のない姉の心もちが不
思議なくらい鮮《あざやか》に映《うつ》っているような気がしながら。――
慎太郎....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
の通り、――彼は脚を早めるが早いか、思わずあっと大声を出した。大声を出したのも不
思議ではない。折り目の正しい白ズボンに白靴《しろぐつ》をはいた彼の脚は窓からはい....
「運」より 著者:芥川竜之介
が》みなれた、端厳微妙《たんごんみみょう》の御顔でございますが、それを見ると、不
思議にもまた耳もとで、『その男の云う事を聞くがよい。』と、誰だか云うような気がし....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
た。これには勇み立った遠藤も、さすがに胆をひしがれたのでしょう、ちょいとの間は不
思議そうに、あたりを見廻していましたが、忽ち又勇気をとり直すと、 「魔法使め」と....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
ころを突止めることは出来ないので、そうした類いの自殺者に対しては、ただ漠然と「不
思議な」という言葉が使われるのだ。 そうした「動機もなく我とわが生命を断った」....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
には、やや保守党に傾いた意見を懐いておったらしい。 ファラデーのような人で、不
思議に思われるのは、博愛事業にも関係しなかったことである。もちろん個人としての慈....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
抜け目のないところと、単純にものを信じやすいところとが妙にまじりあっていた。不可
思議なことを好む食欲も、またそれを消化する力もなみなみでなかった。しかも、それが....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
冷たい、動かない、考えることもしない一塊りの肉にほかならないと思うのは、必ずや不
思議な、心地よい快楽であろう。 八月五日―― 一生涯を通して、人を裁き、判決....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
た。お神さんは、急に自分が偉い人間にでもなったような自慢らしい気持がするので、不
思議に思われる位でした。 太郎右衛門も太郎右衛門で、自分に抱かれて眠っている子....