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怡
「怡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
怡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
いた畑には、麦が青々と伸びて、蔵の瓦屋根《かわらやね》のうえに、小禽《ことり》が
怡《うれ》しげな声をたてて啼《な》いていた。山国の深さを思わせるような朝雲が、見....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
もののなかに確かにその原因を持っている。鋭い悲哀を和《やわ》らげ、ほかほかと心を
怡《たの》します快感は、同時に重っ苦しい不快感である。この不快感は日光浴の済んだ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
あてた手紙の束をさし出した。それを読んでみると、このところ両人の関係が、非常に危
怡に瀕しているのが、よく判った。 笹木光吉は不貞不貞しく無言だった。大江山警部....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
を触れた。途端に轟然たる音がして、石灯籠の頂上から、一道の烽火が立ち上り、春日|
怡々たる長閑の空へ、十間あまり黄煙を引いた。 あまりの意外に群集は、ワッと叫ん....
「運命」より 著者:幸田露伴
得る是の如くなりしかば、事を視ること三年にして、戸口増倍し、一郡|饒足し、男女|
怡々として生を楽みしという。克勤|愚菴と号す。宋濂に故愚庵先生|方公墓銘文あり。....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
と前に一度、ふと舞踏場で、庸三は彼女と逢って、一回だけトロットを踊ってみた時、「
怡しくない?」と彼女は言うのであったが、何の感じもおこらなかった庸三は、そういっ....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
大器量の将軍をば、まさかの時の鉄壁とたのみて、その二十二貫小山のごとき体格と常に
怡然たる神色とは洶々たる三軍の心をも安からしむべし。 肱近のテーブルには青地交....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
ものが、そのままで人を考えさせるに充分だろう。吾々はここに世界を見聞きすることの
怡びを有つのだ。この
怡びは非常に哲学的なものだ。思想もここから養われるのではない....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
様《そん》な大きな無礼無作法は有るものでないから、一団の和気を面に湛《たた》えて
怡然《いぜん》として之を受け、茶味以外の味を細心に味いながら、然も御服合《おふく....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
物の形状声音是の如く其れ蕃庶なりと雖も之を要するに二種を出でず。即ち形態は人目を
怡ましむる者にして其数万殊なるも竟には線条の相錯われると色釆の相雑われるとに外な....
「娯楽論」より 著者:戸坂潤
階であって、ただの社会の隙間の穴埋めにあるのではない。勤労生活に於ける労作成就の
怡びや生活満足感や生活の一般的享楽は、どれもまず娯楽というものを、平俗な併し確実....
「日置流系図」より 著者:国枝史郎
を流祖とした日置流弓道は後世に至って、露滴派、道雪派、花翁派、雪荷派、本心派、道
怡派の六派に別れ、いわゆる日置流六派として武家武術の表芸となり長く人々に学ばれた....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
に顧みて、ただそれなりに皺ばんだ口辺に微笑を湛え得るならば、それでも人生の静かな
怡楽が感ぜられもし、またその境地で満足してもいられよう。しかしそれは凡俗のことで....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
森林の中で楽しげに暮らして老人のことは忘れたらしい。私の言葉の命ずるままに彼らは
怡々として従った。 私は新らしく授けられた自分の力を試みようと、老人の教えに従....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、ラレイが再び君寵にあずかるように、女王にお取りなししようと話が決まった。彼女は
怡々として、二人の寵臣の二重の懇願に口説き落とされた。御前に召し出されたラレイは....