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急がせる
「急がせる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
急がせるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
ら?」 「構うもんか。おまえが馬車から飛び降りてしまったら、おれは馬車をどんどん
急がせるから」 「でも、お嬢さまが兄さんに、捕まえておいで! っておっしゃらない....
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
めて心配な事だろうと同情した。橋本は今夜のうちに帰るんだとか号して、しきりに馬を
急がせるらしい。苗圃長も負けずに、続いて行く。独《ひと》り大重君だけが後《おく》....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ぎをしたわけだった。間に合わぬと知ったので、最後の手段として円タクを割増金つきで
急がせることにより、ようやく時刻ぎりぎりに滑りこんで、セーフと相成った。勤めてか....
「碧蹄館の戦」より 著者:菊池寛
十九年八月二十三日、ついに天下に唐入即ち明国出兵を発表した。 兵器船舶の整備を
急がせると共に、黒田長政、小西行長、加藤清正をして、肥前松浦郡|名護屋に築城せし....
「家」より 著者:島崎藤村
しみを増すように成った。十年一日のような男同士の交際とは違って、何故かこう友情を
急がせるようなところもあった。 垣根に這わせた南瓜は最早盛んに咲く頃であった。....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
れて、自らも目覚め、他をも目覚めしめて、混乱と紛糾に陥っていたものを「整理」へと
急がせることに骨折った者が信長であった、秀吉であった。醍醐《だいご》の醍の字を忘....
「火星探険」より 著者:海野十三
、早く」 張とネッドと山木は、河合のことばを信じかねたが、しかし河合がしきりに
急がせるのでしぶしぶ穴の中へ下りた。 「さあ、こっちから押すんだぞ。一《い》チ、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
で、ひたすら甲州街道を走るようです。 さてまた急に兵馬が、甲州松里村を名ざして
急がせるようになったのはなぜか。その辺で敵《かたき》の当りがついたのか。松里村に....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
乗りました。 かくして、二挺の駕籠は、郡上街道を南に、まだ真暗な暁をひた急ぎに
急がせる。単に郡上街道を南に急げと言われただけで、その郡上街道のいずれの地点に止....
「青春論」より 著者:坂口安吾
のである。無数の彼等の流血は凄惨眼を掩わしめるものがあるけれども、人々を単に死に
急がせるかのようなヒステリイ的性格には時に大いなる怒りを感じ、その愚かさに歯がみ....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
別の慈悲をもって今度に限って忘れ取らせる。以後は十分心を致せ……六尺、お乗り物を
急がせるよう!」 声と一緒に粛々と、女乗り物は動き出した。白縮緬の覆面した十人....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ごとに手を拍ってよろこんだ元の桟敷へは戻れない。深々と幌をかけた車の中で、帰路を
急がせる切ない思いをして、母はしっかり幼児を抱えている。花火見物の最中に天候が一....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
笑った。 「その斟酌には及ぶまいて。君の方でゆっくりするようなら、僕の方で事件を
急がせるまでだ!」 「事件を
急がせるってどうするんだね?」 「君に飛びかかるとい....
「長島の死」より 著者:坂口安吾
ろ、これまでの例で言うと、なまじいに留めだてに類することをしたばかりに却って死に
急がせる結果をまねいたこともあるので、私としては、ほったらかしておくほかに手段が....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
して人数は乗れませぬが」 「それでいい、それでいいッ」 叱りとばすように有村が
急がせると、バラバラ向うへ駆けだした。櫓だ、櫂だ、帆の支度だ! そんな声が八方の....