急き立てる[語句情報] » 急き立てる

「急き立てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

急き立てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
母子叙情」より 著者:岡本かの子
細めて空の色調を眺め取りながら、 「見ろ、夕月。いい宵だな」 といって、かの女を急き立てるように、先へ潜り門を出た。 かの女と逸作は、バスに乗った。以前からか....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
もんでもねえから、明日といわず早いが宜い、兼と一緒に今ッから捜しに行きな」 と急き立てる老の一徹、性急なのは恒太郎もかね/″\知って居りますが、長二の居所が直....
狂乱」より 著者:近松秋江
微笑しながら娘のすることを黙って遠くから見ているばかりである。そして、女が幾度も急き立てるように、 「持っていとくれやす。さあ今すぐ持っていとくれやす」というの....
足迹」より 著者:徳田秋声
を負いかけては、取りつきかかる正雄の顔を見ていた。 やがてお庄は足の遅い母親を急き立てるようにして、道を歩いていた。 母親は下宿にいても、何も手に着かないこ....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
うがねえ。早くお命を貰ってしまおうではないか。」 佐吉がそばから、やきもきして急き立てると、 「命を貰う? うふふふ、おれの命が欲しいというのか。欲しけりゃあ....
若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
どうぞ、そう復命して下さい。そして、総攻撃をお止め下さい。(身も世もなく泣きつつ急き立てる) 木華里《ムカリ》 それでは、合爾合《カルカ》姫、たしかにわが大将の....
黄昏」より 著者:宮本百合子
にいるのよ」 と、せわせわしく囁いた。 「さあ、お早く!」 車掌が、紐を持って急き立てる。 おくめが、娘の顔を見返す暇もなく、電車はまた上下に揺れながら、広....
香油」より 著者:水野葉舟
から、知らぬ顔をしてやった。と、また黙って、まじまじ人の顔を見ていたが、やがて、急き立てるように、 「使いを出すなら、早く出しませんと、人がいなくなります。」と....
三甚内」より 著者:国枝史郎
さあ早く仕度をするがいい。大門口は出られめえ。家の裏木戸を開けて進ぜる」 「そう急き立てるところを見ると、さてはもう手が廻ったか!」 「徒党を組んだ盗賊が黒田様....
剣侠」より 著者:国枝史郎
之助とへ、 「さあ出立だ。いそいで用意! 西野郷へ行くのだ、西野郷へ行くのだ!」急き立てるようにこう云った。 要介は源女を取り返して以来、そうして源女と福島へ....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
になり切れ無い小児性体質が感じられる。それがまた異様な魅力となって小田島の愛感を急き立てる。彼はぐっとイベットの手首と肩を押え、苦しそうな声を出した。 ――云っ....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
たが、采女はもう彼を突き倒してゆくほどの勇気はなかった。眇目の男は不決断の人々を急き立てるように口早にまた言った。 「さあ早う。猶予している場合ではござらぬ。お....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
けがしたようにぽかんとしていた。藤吉だけが自信を持続していた。足の進まない二人を急き立てるように、藤吉が裏町へ出てみようと、露地にはいりかけたその時だった。四、....
越年」より 著者:岡本かの子
いで和服の盛装に着替えて銀座行きのバスに乗った。 「わたし、正月早々からあんたを急き立てるのはどうかと思って差控えてたのよ。それに松の内は銀座は早仕舞いで酒飲み....
快走」より 著者:岡本かの子
るうちに癒った。 「いい加減に出ませんか」 母親は道子のそばへ寄って来て小声で急き立てるので、やっと身体を拭いて着物を着たが、家へ帰るとまた可笑しくなって奥座....