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急ぎ足
「急ぎ足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
急ぎ足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
にやにや笑っていた。
医者が雨の中を帰った後《のち》、慎太郎は父を店に残して、
急ぎ足に茶の間へ引き返した。茶の間には今度は叔母の側に、洋一《よういち》が巻煙草....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ょうぶしょう》に相手を見返りながら、うるさそうに「何だい。」と答えると、泰さんは
急ぎ足に追いついて、「君は今、車へ乗って通った人の顔を見たかい。」と、妙な事を尋....
「或る女」より 著者:有島武郎
、胸の中がややすがすがしくなった。木部はやせたその右肩を癖のように怒らしながら、
急ぎ足に濶歩《かっぽ》して改札口の所に近づいたが、切符を懐中から出すために立ち止....
「或る女」より 著者:有島武郎
少し恥ずかしげにそこに立ちすくんだ。そのあとから愛子が手ぬぐいを頭から取りながら
急ぎ足で現われた。玄関のなげしの所に照り返しをつけて置いてあるランプの光をまとも....
「星座」より 著者:有島武郎
んだ書物を取り上げた。もう何んにもすることはなかった。座を立った。
暗い夜道を
急ぎ足で歩きながら園は地面を見つめてしきりに右手を力強く振りおろした。
きゅう....
「親子」より 著者:有島武郎
に、細々とした新月が、置き忘れられた光のように冴えていた。一同は言葉少なになって
急ぎ足に歩いた。基線道路と名づけられた場内の公道だったけれども畦道をやや広くした....
「海底大陸」より 著者:海野十三
た。 しばらくすると、ロロー殿下は、ふたたび姿を現わして、長良川博士のところへ
急ぎ足でやってきた。 ここでもうしておくが、ロロー殿下の姿は、海底超人のような....
「海底都市」より 著者:海野十三
博士は、学生たちにはすこしも構わず、配電盤の前に立って計器を見上げたり、それから
急ぎ足で、僕をのせている台の下へもぐりこんだり、ひとりで忙しそうに動いていた。そ....
「火星探険」より 著者:海野十三
ンジンなおらず そのとき四少年の大好きな青年技師ビル・マートンが廊下をこっちへ
急ぎ足で来るのを河合が見つけた。 「マートンさん、エンジンはうまくなおりましたか....
「怪塔王」より 著者:海野十三
前は海との間に寝たような形の丘が横たわっていました。 一彦と帆村とは、たいへん
急ぎ足でいきましたけれど、そこへつくまでには、三十分もかかりました。傍に来てみる....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
と並んで二三間先を階段の方に歩いていた。 登志子が階段を上ろうとすると、後から
急ぎ足に来て声掛けた男がある、さっきの田島だ。 「登志さんでしょう、今着いたの、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
岩がくれにやがてただ雲をこぼれた点となンぬ。 親船は他愛がなかった。 廉平は
急ぎ足に取って返して、また丘の根の巌を越して、苫船に立寄って、此方の船舷を横に伝....
「米」より 著者:犬田卯
、全く……それではまず……さいなら。」 そこでがちゃりと受話器をおく音がして、
急ぎ足にスリッパを鳴らしながら係が現れた。半白の小柄な猿のような貌をしたおやじで....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、本郷の通へ駈出でて、東西を見渡せば、一町ばかり前に立ちて、日蔭を明神坂の方へ、
急ぎ足に歩み行く後姿はその者なれば、遠く離れて見失わじと、裏長屋の近道を潜りて、....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
を現わして来る粂吉に逢うようなこともある。私の呼ぶ声を聴き得たとき、粂吉は心もち
急ぎ足で近寄って来るのを常とする。近寄って来て先ず得物のあったことを讚歎し、自分....