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「急坂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

急坂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
西湖の屍人」より 著者:海野十三
して急に冷え冷えとした山気のようなものが、ゾッと脊筋に感じる。そのとき人は、その急坂に鼠の姿を見るだろう。その鼠は、あの敏捷さをもってしても、このぬらぬらした急....
単独行」より 著者:加藤文太郎
した。雄山と浄土山との鞍部へ登った頃はもう全く明るくなっていました。荷物を置いて急坂を登ります。御来迎を気にして急ぎましたが、神社のところへ着くともう太陽は雲か....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
、ということをよく承知していたけれど、もう自分で自分を制することができず、まるで急坂をくだるように突進してしまったのである。 「なんというけがらわしいことだ!」....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
要求していたもののこと、一八二九年八月八日に王政自身がまっしぐらに駆け降りたあの急坂を、途中で立ちどまることの不可能だったこと、それまでわれわれがあまり考慮を払....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
だしも救いはあろう。しかし、左右両翼、どっちの天下になったところで、ファシズムの急坂をころがり落ちて行くだけのことだ。 狭小な耕地面積と乏しい天然資源、おまけ....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
地がない。全部が坂だといってもよろしい土地であるが、銀座から来ノ宮へかけては特に急坂の連続だから、火の手は近いが、この坂を辛抱して荷物を運ぶ人の数は少く、さのみ....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
類の荒れミコシで、まず表参道を走り降りる。ところがこの表参道というのが目のくらむ急坂なのだ。私は六十五度ぐらいと云いたいが、まア、六十度にまけておこう。坂と絶壁....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
た。これがまた大変なところで、八町坂とか云うそうですが、その八町が胸をつくような急坂で、拙者のようなデブには登るのが大変なところです。 この寺は変った寺で、本....
越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
ものであった。山坂ばかりだ。おまけに、豪雨に雷鳴を伴って風が横吹きに吹きまくり、急坂の途中で褌まで濡れてしまった。 闘牛場は、二十村郷のうちの竹沢村の小字二町....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
かかわらず、月に浮かれて余りブラブラしていたので、停車場でベルが鳴った。周章てて急坂を駈下りて転がるように停車場に飛込みざま切符を買った処へ、終列車が地響き打っ....
越中劍岳先登記」より 著者:柴崎芳太郎
それより半里ばかり東南の谷間を下り、それから登山しましたが、積雪の消えない非常な急坂がありまして一里ばかりの雪道を約五時間も費やしました、その雪を通過すると劍山....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
で、旧道七曲峠の方からは白峰もかなりよく見えるという。それを楽しみに歩を運んだ。急坂を下ると河原に出る。橋を渡ってまた水を遥かの下に見て、曲り曲りて北を指してゆ....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
水の流るる音、これから上は、残雪の他、水を得られないとて水筒に充し、一直線にこの急坂を登る。 一岩を踏むと、二つも三つも動く、中には戛々と音して、後続者の足も....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ーという駅に着きました。この駅までは馬車、牛車、馬も通りますけれども、ここからは急坂ですから歩行かあるいは山籠でなくば行くことが出来ませぬ。私共はやはり歩行で朝....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
さそうな所を選んで其方へ足を運ぶので、いつか横の方へそれて後になってしまう。この急坂で旨く滑ればあの岩礁までは一気に転げ落ちるから全く油断はならない。南日君はと....