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「急峻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

急峻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高山の雪」より 著者:小島烏水
ているらしいが、事実はそうでない。頂点は風力が強くて、雪を飛散させるためと、傾斜急峻で雪の維持力に乏しいためとで、かえって雪は少量または稀有である。その少量の取....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
高塔から始めて、奇妙な形の屋窓や煙突が林立している辺りから、左右の塔櫓にかけて、急峻な屋根をひとわたり観察した後に、その視線を下げて、今度は壁面に向けた顔を何度....
単独行」より 著者:加藤文太郎
日)曇 早朝起床支度をなし、朝食をすまし、午前六時小屋出発。王滝口下山なかなか急峻なる道なり。七合目までは苦しいほどの下りにて七合よりスロープ緩く楽なり。三笠....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
に崩れたりしているのも、この石だ、それを針線のように、偃松が幾箇処も縫っている。急峻な登りを行く、雲は赤石山を包み隠して、西南にその連嶺の西河内岳の一角を現わし....
伊吹山の句について」より 著者:寺田寅彦
を縫うて敷かれてある。 山の南側は、太古の大地変の痕跡を示して、山骨を露出し、急峻な姿をしているのであるが、大垣から見れば、それほど突兀たる姿をしていないだろ....
自由人」より 著者:豊島与志雄
た急斜面を、足場を求めながら攀じ登った。旧火口の縁をまわり、馬の背越を過ぎると、急峻な斜面の上方に、高千穂の頂が頭を出す。その頂上附近に数人の人影が見えるのだ。....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
。その下り口、石欄の前に在って、両基の大理石水瓶により見分けられる。高台の左側は急峻に、庭の方へと下り行くのである。蔦、薔薇の蔓欄にからまり、庭苑の高き叢、垂れ....
皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
方が激しいので疑わしくなり、とにかくもう少し高い方へ登って見ることにして、かなり急峻な斜面を百米も登ると頂上らしい所に出た。潮のようにさしひきする霧の絶間から眺....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
にも困難である。剰え、二日以来足の痛みは、今朝宿を出た時から常ではないので、この急峻な山道では一方ならぬ苦痛を覚えた。途中の用意にもと、宿から持って来た「サイダ....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
如く昨年始めて自分たちのとったルートであって、市ノ倉沢の下から眺めると、衝立岩の急峻な左の尾根のすぐ横に、細く暗く真直ぐに割込んで見える特徴のあるリンネを指す。....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
※と栃の大木の繁り合った、草むらへ出るのであるが、これらの山道は、いずれもさほど急峻なものではない。が、頭上に山の頂や隣の峰々が高く聳え立ち、全山ことごとく樹木....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
、左に小尾根を派出している所から、右の谷らしい窪を十五分許り下ると水が得られた。急峻な谷間には一|勺の平地とてもない。止むなく大木が倒れて根と共に山腹を掘取った....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
を登りしも水なきを以て、更に右渓を探りて水を得。偃松現わる。五時三十分、山の中腹急峻なる草原の斜面に露営。 暁近く河瀬の音に目が覚めた。仄白い朝の光が天幕の中....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
池ノ平続きの山が残雪斑々たる姿を見せたのである。 対岸の百貫山と名劒山を連ねた急峻な山稜を絶えず頭上に仰いで、横合から不意に落ち来る幾つかの支谷を越えた。独活....
八ヶ峰の断裂 」より 著者:木暮理太郎
裂の特色は山稜が歪なU字形にくびれて、越中人夫の所謂「窓」を形造り、其儘一直線に急峻なる越中側の山腹を抉って、五百米も下の東谷(南五竜沢)の雪渓まで続いているこ....