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「急調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

急調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
てた。 自然に冥通の人間の上に、自然が支配する時間の爪の掻き立て方は人間から緩急調節できた。翁の上に幾たびかの春秋が過ぎた。けれども、翁の齢《よわい》の老《お....
俊寛」より 著者:菊池寛
が歌をうたっているのだということが分かる。それは朗詠や今様などとは違って、もっと急調な激しい調子である。が、そのききなれない調子、意味のまったく分からない詞の中....
壊れたバリコン」より 著者:海野十三
如ク運搬スル食料品ヨリ見テ四五十名カト思ワル。 貴局ハ左ノ事実ヲ其筋ニ急報シ、至急調査開始ヲ依頼サレタシ。前後ノ事情ヨリ推察スルニ怪施設ハ大部分完備ニ向イタルモ....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
――ジュリアは確かにいた。同じような肢体をもったダンシング・チームの中央で一緒に急調なステップを踏んでいた。 「幕を締めさせましょうか。そして舞台裏から一時に飛....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
事がそっと耳にはいった。それは、日本の政府からパリの大使館にあてて、Sの素行を至急調べろという訓電が来たということだ。僕はこれはてっきり、Sを調べさえすれば僕の....
怪星ガン」より 著者:海野十三
で事務室にいた。そしてニュースの切りぬきを整理していたのだ。すると、とつぜんあの急調子の予告音楽を耳にしたのだ。 (あッ、臨時放送がはじまる。何ごとだろうか)と....
恐竜島」より 著者:海野十三
の表面には、はげしい波紋が起って、岸のところへ波がざぶりとうちあげた。 竪琴が急調《きゅうちょう》をふくんで鳴りひびいた。ツルガ博士の手が、竪琴の糸の上を嵐の....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
出して話のいとぐちをつくった。分銅《ふんどう》のついた安ものの小さな掛け時計が、急調子でかっきり十二時を報じた。 「ちょうどかっきりお約束の時刻でございます」と....
幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
た。――カァン、カァン、カァン、カァン……と何時までも同じ単調な響だった。それが急調子の読経の声の間から、絶え間なく湧き上ってきた。すぐ膝の前で力籠めて伏金《ふ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
さってくる悠久《ゆうきゅう》な夢に彼は吸い寄せられる。河水の騒々しい基調の上に、急調の律動《リズム》が激しい愉悦をもって飛び出してくる。そしてそれらの節奏《リズ....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
ラウンがこんなことを考えている間に、劔戟の音がせわしくせまってカチャカチャという急調に早変りを始めた。公爵の両手は空に放たれ、相手の切尖が彼の背面、左右肩胛骨の....
次郎物語」より 著者:下村湖人
って板木を打ちだしたが、その打ちかたは、一つ一つの音が余韻をひくいとまのないほど急調子で、いかにも業をにやしているような乱暴さだった。 大河は、あきれたように....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
水平線の向こうの国と、恋し男神との夢を追っているようであった。笛と太鼓と銅拍子が急調に乱れて来たと思うと、彼女も劇しく、狂うような舞いながら舞台を駈け廻った。誰....
チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
う。招待、訪問。ヴォルチャーニノフ家の教養ある空気。 第二楽章。軽快調から漸次急調子に。――画家が自分の遊民的生活に感じる不満。しかも社会事業家型の姉娘よりも....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ウスト いや。勝軍のかがやきのうちに 死が血に染まった月桂樹の枝を顳※に纏う人、急調の楽につれて広間を踊り廻った揚句に、 少女の腕に支えられながら死を迎えた人は....