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性向
「性向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
性向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒猫」より 著者:佐々木直次郎
ているだけのために、その最善の判断に逆らってまでも、その掟を破ろうとする永続的な
性向を、持っていはしないだろうか? この天邪鬼の心持がいま言ったように、私の最後....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
来ないのである。過剰労働力がうようよしていて夫が頭痛の種でさえある処に、特殊な女
性向き労働を除いて、不熟練な婦人労働力など何の必要があろう。従って家庭労働を社会....
「道徳の観念」より 著者:戸坂潤
めには絶対に夫が必要だったのだ。まず経験的因果の連鎖を取り除き、次に人間的欲望の
性向(傾向)を取り除き、それから道徳律=根本命題の特殊な中味を取り除く。かくて倫....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
さ。僕はいままでにこの一万倍もむずかしいのを解いたことがある。境遇と、頭脳のある
性向とが、僕をそういう謎に興味をもたせるようにしたのだ。人間の知恵を適切に働かし....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
と代赭との塊りとしか見えない松木立も、そのなかに入ってよく見ると、それぞれの樹が
性向と姿態とを異にしているのに驚くことがよくある。多くの樹木が女の顔立と同じよう....
「死者の書」より 著者:折口信夫
めて自分の心づいた鈍ましさが、憤らずに居られなかった。そうして、自分とおなじ風の
性向の人の成り行きを、まざまざ省みて、慄然とした。現に、時に誇る藤原びとでも、ま....
「現代科学教育論」より 著者:戸坂潤
な理性と観察的な理性のタイプを区別してもいいだろう。とに角素質とその発達としての
性向の区別がある。だがこの区別にも拘らず、一般に科学的精神の形成は、最も大切な科....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
ろへワザワザ後始末に来やしませんや。私はあなたサチ子夫人を全面的に尊敬讃美しその
性向行動を全面的に認める故に犬馬の労を惜しまぬのです。かかる熱誠あふるる忠良の臣....
「戦争論」より 著者:坂口安吾
あるが、彼らが現に弾圧されつゝあるにも拘らず、然し、彼らほど、やがて人を弾圧する
性向を潜めているものはない。個人の自由や、人間性を尊重する慎しみ深さは、その根柢....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
たれていると見なければならない。けだし日本の一般庶民が性本来温良で、穏和を愛する
性向の然らしむるところであるらしい。監督官庁の官僚や税務官吏が特に鬼畜の
性向をも....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
は未亡人であるこの叔母を尊敬もし、また親しんでもいた。特色の出ている人を好む彼の
性向は早くこのころから萌していたものと思われる。 新築後は以前から長くいたおだ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ので、そんな教訓めいたポーズをとらせたのであろうと思う。しかし私の感情的、文人的
性向はそうしたもので抑えることは出来なかった。又父といえども謙遜で、義理堅いとこ....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
たちは、繁栄か破滅かに向って出発しようとしているのだ。背後をふりかえってみると、
性向や意志のこのほとんど奇蹟的な変化が、あたかも私の生命を護る天使が直接に示唆し....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
だった。それでいて、性格の矛盾した旋回のうちに、もう一つの、そしてまったく反対な
性向も現われる。――人間の精神機構のふしぎといおうか――彼女という存在の奥の奥で....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
保っていたのである。 しかしモルトケ作戦の大成功と決戦戦争に依る武力価値の絶対
性向上は遂に統帥権の独立を完成したのであった。それでもこれが成文化されたのは普仏....