性情[語句情報] »
性情
「性情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
性情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ども悪夢だったことは必しも不幸とは限らなかった。彼はその為に少くとも孤独に堪える
性情を生じた。さもなければ彼の半生の歩みは今日よりももっと苦しかったであろう。彼....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
質が一切《いっさい》の不摂生を許さなかったからもありましょうが、また一つには彼の
性情が、どちらかと云うと唯物的な当時の風潮とは正反対に、人一倍純粋な理想的傾向を....
「猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
い。蟹の妻は売笑婦《ばいしょうふ》になった。なった動機は貧困のためか、彼女自身の
性情のためか、どちらか未《いまだ》に判然しない。蟹の長男は父の没後、新聞雑誌の用....
「或る女」より 著者:有島武郎
切るほどの強さで現われ出た。思い入った決心を眉《まゆ》に集めて、日ごろの楽天的な
性情にも似ず、運命と取り組むような真剣な顔つきで大事の結着を待つ木村の顔。母の死....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
氏一家の模様を覚えているだろう。死んだ細君から結核を伝えられたU氏があの理智的な
性情を有《も》ちながら、天理教を信じて、その御|祈祷《きとう》で病気を癒《いや》....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
、その怪人集団は吾人の想像に絶する巨大なる力を有するものの如く、而《しか》もその
性情は頗る危険なるものの如くである。彼等が如何なる国籍の者なるかについては、なお....
「親子」より 著者:有島武郎
。そして何事もずばずばとは言い切らないで、じっとひとりで胸の中に湛えているような
性情にある憐れみさえを感じているのだ。彼はそうした気持ちが父から直接に彼の心の中....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
でやらないとその体内の液体が全く干上ってしまわなければならない。そうして多血性の
性情とその良い効果はほとんど失われてしまわなければならないということは明らかであ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
るばかりの思想と感情とを古典的な行動に包んだ老独身者のおもかげだ。また一方はその
性情が全く非古典的である上に、無神経と思われるまでも心の荒んだ売女の姿だ。この二....
「食魔」より 著者:岡本かの子
がいうとき特にこの一味だけがそれであるように受取らせる。ひょっとしたらこの青年は
性情の片端者なのではあるまいか、他の
性情や感覚や才能まで、その芽を※から味の調不....
「河明り」より 著者:岡本かの子
話が、娘を刺戟し過ぎて、娘は気鬱症を起したのかも知れない。そう云えばだんだん娘の
性情の不平均、不自然なところも知れて来かかっていたし、そういう揺り返しが、たまた....
「巴里のむす子へ」より 著者:岡本かの子
私に似て情熱家肌の純情屋さんなのに、よくも、そこを矯め堪えて、現実に生きる歩調に
性情を鍛え直そうとした。 「おかあさん、感情家だけではいけませんよ。生きるという....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
K雑誌先月号に載ったあなたの小説を見ました。ママの処女作というのですね、これが。ママの意図としては、フランス人の
性情が、利に鋭いと同時に洗練された情感と怜悧さで、敵国の女探偵を可愛ゆく優美に待....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
一見その人と知ることができた。彼は私にとりて一の実在であり、一の人格であり、その
性情は、私が地上で接触する人間と同様に、顕著なる一つの輪廓を有っていた。 『そう....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
をも暴露しそうな懸念があるので連れ添う妻に向ってさえ愛情が素直に口に出ないのだ。
性情に被りついて仕舞った何という伝統の厚い皮だ。 ――ちょっと伺いますが、吉原....