怯え[語句情報] » 怯え

「怯え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

怯えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
呆気に取られた顔をして、亭主が、ずッと乗出しながら、 「へい。」 とばかり怯えるように差出した三世相を、ものをも言わず引掴んで、追縋って跡に附くと、早や五....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
家を求めるのだ。私の心もまた兎のようだ。大きな威力は無尽蔵に周囲にある。然し私の怯えた心はその何れにも無条件的な信頼を持つことが出来ないで、危懼と躊躇とに満ちた....
朱日記」より 著者:泉鏡花
転んで泣くようだ、他愛がないじゃないか。さてそうなってから、急に我ながら、世にも怯えた声を出して、 (わっ。)と云ってな、三反ばかり山路の方へ宙を飛んで遁出した....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
」 「泣くな、弱虫、さあ一つ飲まんか! 元気をつけて。向後どこへか呼ばれた時は、怯えるなよ。気の持ちようでどうにもなる。ジャカジャカと引鳴らせ、糸瓜の皮で掻廻す....
女客」より 著者:泉鏡花
片手で縋って泣いじゃくる。 あるじは、きちんと坐り直って、 「どうしたの、酷く怯えたようだっけ。」 「夢を見たかい、坊や、どうしたのだねえ。」 と頬に顔をか....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
と静に言う時、ふと見返った目が、私に向いた、と一所にな……先生の眼も光りました。怯えて立ったね、悚然した。 荷を担いで、ひょうろ、ひょろ。 ようやく石段の中....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
張って、一ツ星に颯と外れた。 「魔が来たよう。」 「天狗が取ったあ。」 ワッと怯えて、小児たちの逃散る中を、団栗の転がるように杢若は黒くなって、凧の影をどこま....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
爺さんを視ながら、蝮は弱ったな、と弱った。が、実は蛇ばかりか、蜥蜴でも百足でも、怯えそうな、据らない腰つきで、 「大変だ、にょろにょろ居るかーい。」 「はああ、....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
が、それだけに、思掛けなさも、余りに激しい。―― まだ人間に返り切れぬ。薙刀|怯えの蝉は、少々|震声して、 「小県ですよ、ほんとう以上の小県銑吉です、私です。....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
婆さんや、人が来た。」「うう、お爺さん」内職の、楊枝を辻占で巻いていた古女房が、怯えた顔で――「話に聞いた魔ものではないかのう。」とおっかな吃驚で扉を開けると、....
縁結び」より 著者:泉鏡花
て聞いている内、月チト暗カリケル処ニテ、仁右衛門が出て行った。まず、よし。お君は怯えずに済んだが、ひとえに梟の声に耳を澄まして、あわれに物寂い顔である。 「さ、....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
いて、ひょろひょろ、ひょろひょろと行列のあとの暗がりを縫って歩行いて、女|小児を怯えさせて、それが一等賞になったから。…… 地獄の釜も、按摩の怨念も、それから....
親ごころ」より 著者:秋田滋
るまいかと思いながら、闇のなかに絶えず我が子の名を呼びつづけ、夜あるきをする獣を怯えさせながら夜が明けるまで馳け※った。――女房はまた女房で、戸口の石のうえにべ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
の情に、足は抜けた。が、御坊はもう腰を切って、踏立てない。……魔の沼へ落込むのに怯えたから、尻を餅について、草鞋をばちゃばちゃと、蠅の脚で刎ねる所へ、浪が、浪が....
式部小路」より 著者:泉鏡花
「や、まだ台函に、お包が、」とすッ飛んで取りに駆けたは、火の玉小僧の風体に大分怯えているらしい。 「酷いや、お嬢|様、見っともねえや。こんなものをさして歩行い....