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「怯える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

怯えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
若杉裁判長」より 著者:菊池寛
一日続きました。その上、極度に過敏になった夫人の神経は、些細《ささい》な物音にも怯えるようになりました。主治医は、夫人の生命そのものについても、憂慮を懐くように....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
て一羽ずつ密と来た。忽ち卯の花に遊ぶこと萩に戯るるが如しである。花の白いのにさえ怯えるのであるから、雪の降った朝の臆病思うべしで、枇杷塚と言いたい、むこうの真白....
竹青」より 著者:太宰治
と小さい時からただ人に叱られて育って来たので、人を見ると自分を叱るのではないかと怯える卑屈な癖が身についていて、この時も、譫言のように「すみません」を連発しなが....
婦系図」より 著者:泉鏡花
呆気に取られた顔をして、亭主が、ずッと乗出しながら、 「へい。」 とばかり怯えるように差出した三世相を、ものをも言わず引掴んで、追縋って跡に附くと、早や五....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
ございましたが、恰度心配してこっそり様子を見に参りました私は、そこで主人の、物に怯えるような独言を聞いたのでございます」 「どんなことです?」 私は思わず急き....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
ざいましたから、お屋敷勤めのわたくし共はその怖ろしい噂を聞きますだけで、そんなに怯えるほどのこともございませんでした。勿論、八月の朔日から九月の末までに、江戸中....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
」 「泣くな、弱虫、さあ一つ飲まんか! 元気をつけて。向後どこへか呼ばれた時は、怯えるなよ。気の持ちようでどうにもなる。ジャカジャカと引鳴らせ、糸瓜の皮で掻廻す....
縁結び」より 著者:泉鏡花
ね。」 「一飛びだから、梟が迎いに来たんだろう。」 「あれ。」 「おっと……番毎怯えるな、しっかりと掴ったり……」 「あなた、邪慳にお引張りなさいますな。綺麗な....
小公女」より 著者:菊池寛
でした。ひどく内気で、人から物をいいかけられたりすると、眼が顔から飛び出しそうに怯えるのでした。 セエラはテエブルに頬杖をついて、マリエットの話を聞いていまし....
紫大納言」より 著者:坂口安吾
退いたが、見たこともない幽霊はとんと怖れぬ人だったから、まだ出会わない盗賊には、怯える心がすくなかった。それゆえ、多感な郎子たちが、心にもあらず、恋人の役を怠り....
決戦川中島 上杉謙信の巻」より 著者:坂口安吾
れたからだ。したがって、彼が余らの意表にいでて茶臼山に現れたと見るのは当らない。怯える心はむしろ信玄に強いのだ。余の本営に動揺の色がなければ、蛸めには善光寺の大....
神経衰弱的野球美学論」より 著者:坂口安吾
である。こういう次第で、はじめの三日間ぐらいは、ゲームをたのしむよりもファウルに怯える方が主であった。 然し、二週間の野球見物を通観して、ゲームをたのしんだか....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
た。それは、怒り、逆上である。 記代子は半死半生の経験によっても、冒険や危険に怯える心を植えつけられはしなかった。むしろ、なつかしみさえした。彼女があの怖しい....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
……何を恐れる! 天下人だぞ! 何を遠慮する、関白だ! 一天四界俺の物だ! 何を怯える、石田、増田に! 巷の童どもが悪口を云わば、用捨はいらない、切ってすてろ!....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
にまで心をとめれば、釣技にもまた特別な興趣が伴うものである。 敏捷であって人に怯える習性を持っている。餌に向かって猛然と突進してくるが、その餌を口にして鈎のよ....