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「恃み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恃みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
山月記」より 著者:中島敦
たれたが宜《よろ》しいでしょうと。袁※は、しかし、供廻《ともまわ》りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥《しりぞ》けて、出発した。残月の光をたよりに林中の草地を通っ....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
安心していても存外快楽のうすいものである。人間は自己を恃《たの》むものである。否恃み難い場合でも恃みたいものである。それだから自己はこれだけ恃める者だ、これなら....
小田原陣」より 著者:菊池寛
る策戦に衆議一決しようとした。此の時松田|憲秀独り不可なりと反対し、箱根の天嶮に恃み、小田原及関東の諸城を固めて持久戦をする事を主張した。此は元来北条氏の伝統的....
運命」より 著者:幸田露伴
奪わば、則ち其の怨を起すこと、漢の七国、晋の諸王の如くならん。然らざれば則ち険を恃みて衡を争い、然らざれば則ち衆を擁して入朝し、甚しければ則ち間に縁りて而して起....
太虚司法伝」より 著者:田中貢太郎
その風に掻きまぜられた沙の中から髑髏や白骨が覗いていることがあった。しかし、才を恃み物に傲って、鬼神を信ぜず、祠を焼き、神像を水に沈めなどするので、狂士を以て目....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
この書がまさしく、示唆に富める手引きとなり得るであろうことを今も信じている。私が恃みを持つのは思想的内容そのものよりも人生に対する態度である。いかなる態度をもっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
魔にした久助を、今は、一にも二にも恃《たの》む心になったのも勝手なものだが、その恃みきった久助さんとても、仮りに最大速度で走ってくれたところで、往復に二十日はか....
嬰寧」より 著者:田中貢太郎
んの世話になってて、今日のようなことになりました。私には他に兄弟もありませんし、恃みにするのはあなたばかりです。今、お母さんは寂しい山かげにいるのですが、だれも....
人生における離合について」より 著者:倉田百三
愛につまずいた者が人間以上のものを求めるようになる心理は実に自然である。人の心は恃み難しとして神にゆく者は少なくないが、それほどでなくても少なくとも宗教的心情を....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
正しく責任をつくしたいと念じ、とにかく私は私情によって左右されない自分にいくらか恃みがあったので引きうけた。引きうけたからには、良いものを見のがすことがないよう....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
もそうである。ダイコン役者はそういうものだ。 そういうダイコン女優は自分の女を恃みにするから、舞台の上で一人の女になることもできないし、ナマの自分も出しきれな....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
らい頼りなく故障だらけのものであることが分れば、健全な精神というものは、あんまり恃みにならないものだということが明らかでしょう。もっとも、それを恃みにする以外に....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
私は卑しくとも、卑しいことを恥ずる感情は失ったことはなく、またそれを私のわずかの恃み場として守っていますから。私はドストエフスキーなどを読むときに、いつも彼が正....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
弾丸ちる霰の中とても、雪波立てたる風とても、厭うことなき鉄の靴、勝手に進む我が心恃みは妻子にあらずして、寄辺は父母にあらぬなり、何かの艱みを忍びつつ、成功に進む....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
のなかを覗くごとく、朕が愚かさを知れり。狂気をいいのがるる具に、あえて超自然事を恃みし、わが愚かさを」 他の言葉でいえば、彼女はもっとよい思慮があったにもかかわ....