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恍
「恍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
血の交じった唾《つば》を、口の中にためながら、ささやくようにこう言うと、それなり
恍惚《こうこつ》とした、失神の底に、――おそらくは、さめる時のない眠りの底に、昏....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
底を払って消えてしまった。あるのは、ただ不可思議な悦《よろこ》びである。あるいは
恍惚《こうこつ》たる悲壮の感激である。この感激を知らないものに、どうして戯作三昧....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ましたから、大きい弓なりのピアノの音に熱心に耳を傾けていました。トックやマッグも
恍惚《こうこつ》としていたことはあるいは僕よりもまさっていたでしょう。が、あの美....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ている、――そんな景色を眺めながら、お蓮は懐しい金の側に、一夜中《いちやじゅう》
恍惚《こうこつ》と坐っていた。………
「それから一日か二日すると、お蓮――本名は....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
出した。そうしてあらゆる優れた芸術品から受ける様に、この黄いろい沼地の草木からも
恍惚《こうこつ》たる悲壮の感激を受けた。実際同じ会場に懸かっている大小さまざまな....
「女体」より 著者:芥川竜之介
なって来た。勿論夢ではない。そうかと云ってまた、現《うつつ》でもない。ただ、妙に
恍惚たる心もちの底へ、沈むともなく沈んで行くのである。それがやがて、はっと眼がさ....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
は情《なさけ》ある男も少からぬものをと云う。しかもその声を聞く毎に、神魂たちまち
恍惚として、恋慕の情|自《おのずか》ら止《とど》め難し。さればとてまた、誰と契《....
「白」より 著者:芥川竜之介
ほどの小ささに、白い犬が一匹坐っているのです。清らかに、ほっそりと。――白はただ
恍惚《こうこつ》とこの犬の姿に見入りました。
「あら、白は泣いているわよ。」
....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
が神憑りになったらよさそうに思われますが、そう云う夢とも現《うつつ》ともつかない
恍惚《こうこつ》の境にはいったものは、その間こそ人の知らない世界の消息にも通じる....
「或る女」より 著者:有島武郎
いで行った。そして列車が動かなくなった時、葉子はその人のかたわらにでもいるように
恍惚《うっとり》とした顔つきで、思わず知らず左手を上げて――小指をやさしく折り曲....
「或る女」より 著者:有島武郎
ばかりにいて美しいものを全く見なかったらしい古藤は、しばらくは何事も忘れたように
恍惚《こうこつ》として二人の描く曲線のさまざまに見とれていた。
と突然貞世が両....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
そうな頭を上げて、俄かに黒雲や起ると思う、憂慮わしげに仰いで視めた。空ざまに目も
恍惚、紐を結えた頤の震うが見えたり。 「心持でしょう。」 「いいえ、じろりと見ら....
「墓」より 著者:秋田滋
、こころよい、しみじみとした幸福感でありました。 彼女の一挙一動は、わたくしを
恍惚とさせました。彼女の声は、わたくしの心を奪うのでした。彼女のからだ全体が、そ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
み、馬車人力車の轟きさながらに地獄の如く、各種商店の飾りあだかも極楽の荘厳の如く
恍然として東西を弁ぜず、乱雑して人語を明らめがたし。我自ら我身を顧りみれば孑然と....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
だは武侠の精神のおかげで敢えて請おうとしなかった助命を切望しているように見えた。
恍惚となったイカバッドは、こんなことを空想しながら、緑色の大きな眼をぐるぐるさせ....