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「恍け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恍けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
行人」より 著者:夏目漱石
を左右に託して、空恍《そらとぼ》けている……」 二十二 「空恍けてると云われちゃちっと可哀《かわい》そうですね。話す機会もなし、また話す必要....
」より 著者:島崎藤村
て復た落ちている。水草を越して流れるほど勢の増した小川の岸に腰を曲めて、三吉は寝恍けた顔を洗った。そして、十一時頃に朝飯と昼飯とを一緒に済ました。彼は可恐しい夢....
縮図」より 著者:徳田秋声
たり、手紙を書いたりするのを、ひどく億劫がる習性から来ているのであったが、わざと恍けてずるをきめこんでいるのも多かった。 食事中、子供は留守中に起こったことを....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
崎南山の粥河さんがお蘭さんを生埋にしたろう」 海「うんにゃ知らん」 半「いかんよ恍けちゃアいかんよ、知っているよ」 海「知って居るったって己ア知らんよ」 半「知....
程よい人」より 著者:豊島与志雄
れを、すっかり聞かして下さいませんか。」 「いったいどんなことなの。」と私はそら恍けた。 彼女は私の顔をじっと見た。 「会社のいろんな人から、お金を借りていら....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
していてもキリがねえし、ほかの事件ならいざ知らず、出鱈目《でたらめ》を言ってすっ恍けているには、すこし間違いが大きすぎるから、よけいなおせっかいのようですが、手....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
…ひょろ松、お前そう思わないか」 ひょろ松は、いよいよ苦りきって、 「べつに、恍けているなどと思いませんねえ。……ここにいて、聞くな、はおかしいが、まア聞かぬ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ぬすっとの同類とは、こいつアよっぽど振《ふる》ってる。……おい、仙波、永らくすっ恍けていやがったが、今度こそは年貢《ねんぐ》の納めどき、昔の誼《よし》みで、この....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
狸め、びっくりしたような顔で、 「おや、こんなところなんでございますか」 と、恍けたことをいう。 「これが約束の場所だ」 「へい、そうですか。では、ここで降り....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
金蔵はヒョイと見て、こいつはいけないと思ったもンだから、あわててわきをむいてすっ恍けていたンですが、横目で様子をうかがうと、藤五郎は水に濡れたまま大急ぎで、左手....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
《せりふ》がまじるようですが、そりゃア、いったい、なんのお話です」 顎十郎は、恍けた顔で、 「実はな、ひょろ松、われわれ二人もあぶなく毒流しにかかりかけた組な....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
御用部屋を出て行く。ひょろ松は、追いすがって、 「……阿古十郎さん、あなたはすっ恍けの名人ですが、きょうのは、またいつもの伝なんでしょう」 顎十郎は、ヘラヘラ....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
と、太田蜀山人《おおたしょくさんじん》のところへ出入して、下手な狂句なども作る。恍けたところがあって、多少の可愛気はある男。 伝兵衛が背伸びをしながら、金唐声....
深川女房」より 著者:小栗風葉
いの悪いのと、一体何のことだね? 私にゃさっぱり分らないよ」 「へへへ、そんなに恍けなくたって、どうせそのうちに御披露があるんでしょうから……」と言って、為さん....
子をつれて」より 著者:葛西善蔵
また例の三百が来ていて、それがまだ二三度目かだったので、例の廻り冗い不得要領な空恍けた調子で、並べ立てていた処へ、丁度その小包が着いたのであった。「いや私も近頃....