恐れ気[語句情報] » 恐れ気

「恐れ気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恐れ気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
経の奥に暖かく移っていった。ふと眼を挙げるとそこにおぬいさんの眼があった。何んの恐れ気もなく、平和に、純潔な、そして園の心におのずと涙ぐましさを誘うような淋しさ....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
のお寺近くにあるというのに、京はまたかくのごとく女には不自由をしない曲輪手前に、恐れ気もなく店を張っているのも、都ならでは見られぬ景物に違いない。 通り越して....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
ました。すると、この時その少女が、六人の中からズカズカと前に進み出て、王様の前に恐れ気もなく近寄りました。そうして帽子を取って最敬礼をしますと、やがて銀の鈴を振....
三人の双生児」より 著者:海野十三
に唾を吐いた。 「ま、そう怒ってはいけない。君は誤解しているようだ」 と貞雄は恐れ気もなく、傍に寄り添って来ながら、 「僕は誓う。また君自身も知っているだろう....
蠅男」より 著者:海野十三
手前の首は胴についていないぞ」 蠅男は、大蟹のような右手の鋭い鋏をふりかざして恐れ気もなく帆村に迫ってきた。 今や竜虎の闘いである。悪竜が勝つか、それとも侠....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
揃うてお見送りか、夜中大儀々々」 少しあの向う傷の事を考えればよいのに、さッと恐れ気もなく行く手を塞いだのは八九名。同時に一喝が下りました。 「眉間をみいッ。....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、御意に召さぬかな」 召すにも召さないにも、こうやんわりと不気味に、しかも一向恐れ気もなく釣竿を肩にしたまま、大手|搦め手両道から説き立てられては、いかに気負....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
感情を害しようとも、自分の将来の身の上に不利益が来《きた》りましょうとも、少しの恐れ気もなく、善いことは善い、悪いものは悪い、と断言をなさることができるのであり....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
ょに瀑のような雨も、いきなりどうどうと降り出したのです。杜子春はこの天変の中に、恐れ気もなく坐っていました。風の音、雨のしぶき、それから絶え間ない稲妻の光、――....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
岩さえあって、うっかりすると岩の角へ、叩き付けられることさえある。それだのに娘は恐れ気もなく、島田の髷を濡らさないように、乳から上を波から出し、グングン沖の方へ....
染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
六 「大金を持っているだろうに、こんな夜道を女一人で、この押詰った師走空を、恐れ気もなく歩くとは、とても度胸は太いものだ。いよいよ並の阿魔ッ子じゃァねえな」....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
った。最初は恐れていた小鳥達も次第次第に慣れて来て終いには銃眼から小屋の内へまで恐れ気もなく舞い込んで来て小鳥らしい可愛い悪戯をして――たとえば糞を落としたり椅....
魔都」より 著者:久生十蘭
て来て今度は悪徳新聞「夕陽」の幸田が、場所もあろうに警視庁も間近い日比谷公園で、恐れ気もなく堂々と野天詐欺《かけながし》を働くのをノメノメと眺めていたという。 ....
犂氏の友情」より 著者:久生十蘭
、……市中の料理店の献立表《ムニュウ》ではあまりお眼にかかれぬような怪奇なものを恐れ気もなく食っている。なんでもない、ちょっとしたことだが、いかにも別世界へ飛び....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
と持て余して、腫物にさわるようにはらはらしながら看護している。その中でただ一人、恐れ気もなくその枕もとに坐りつづけているのは、彼が愛娘の小坂部であった。 父が....