»
恙
「恙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
の間《あいだ》、甚内の噂《うわさ》を聞かずに居りました。が、とうとう分散もせずに
恙《つつが》ないその日を送られるのは、皆甚内の御蔭でございますから、いつでもあの....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
くらい、落着かない心もちに苦しめられたとか申して居りました。
しかしその御文は
恙《つつが》なく、御姫様の御手もとまでとどいたものと見えまして、珍しくも今度に限....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
予船《いよぶね》の便《びん》を求めて、寛文《かんぶん》七年の夏の最中《もなか》、
恙《つつが》なく松山の城下へはいった。
松山に渡った一行は、毎日|編笠《あみが....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
大金を所持している筈もなかったが、一朱銀五つと小銭少しばかりを入れてある紙入れは
恙《つつが》なくそのふところに残っていて、ほかには何も紛失物はないと女房のお国は....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、わたしの病臥中にも花壇はちっとも狼藉たる姿をみせていない。夏の花、秋の草、みな
恙なく生長している。これほどの狭い庭に幾種の草花類が栽えられてあるかと試みにかぞ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、何とて生命の続くべきと、老の目に涙|泛べしなり。されど気丈なる女なれば、今なお
恙なかるべし。 小親いまだその頃は、牛若の役勤めていつ。銀六も健かに演劇の真似....
「兜」より 著者:岡本綺堂
た。斬った者の腕前は知らないが、ともかくも鉢の天辺から撃ちおろして、兜にも人にも
恙ないという以上、それは相当の冑師の作でなければならないと思ったので、勘十郎は金....
「取舵」より 著者:泉鏡花
まさに入らんとせるなり。 ここ一時間を無事に保たば、安危の間を駛する観音丸は、
恙なく直江津に着すべきなり。渠はその全力を尽して浪を截りぬ。団々として渦巻く煤烟....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
う、殺されよう。死ぬ方が増しじゃ。遂げ得ぬ恋に長く苦しむよりは」 「それ程まで不
恙な私をば」 人の言葉を信じるのは、まことに人なれぬ里人とて早過ぎる程に早かっ....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ざいませんが、雪や雨の難渋なら、皆が御迷惑を少しずつ分けて頂いて、貴下のお身体に
恙のないようにされますけれども、どうも御様子が変でございます。お怪我でもあっては....
「薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
、わたしの病臥中にも花壇はちっとも狼藉たる姿をみせていない。夏の花、秋の草、みな
恙なく生長している。これほどの狭い庭に幾種の草花類が栽えられてあるかと試みに数え....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
りの難所である、加之も細雨ふる暗夜である。不知案内の女が暗夜に此の難所を越えて、
恙なく里へ出られるであろうか。 けれども、今はそんなことに頓着する場合で無かっ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
に万全なる軍備の補強にありてひと時も忘れざるなり。同じ切なる願いのなかに、御身の
恙なき帰国をこそ。なおまた、御身よく胸に手をあてて、見せかけの真実と、有効目標と....
「西航日録」より 著者:井上円了
するあり。あたかも日本の二月ごろの気候にひとし。かかる気候の激変のために、余も微
恙にかかり、南方の海岸にて静養せんと欲し、四月十七日朝ロンドンを発し、へースティ....
「エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
与治兵衛から、仕丁頭中へ出した願書の控に、「私儀親代より引続き三代、小法師御用無
恙勤来候」とあるのによれば、享保九年から後間もなく、この方へ職務が移ったとして勘....