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恣
「恣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
っていない。家は門地《もんち》も正しいし、親譲りの資産も相当にある。詩酒の風流を
恣《ほしいまま》にするには、こんな都合《つごう》の好《い》い身分はない。
実際....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
類同志の間がらだけに、鬼の娘を絞殺《しめころ》す前に、必ず凌辱《りょうじょく》を
恣《ほしいまま》にした。……
あらゆる罪悪の行われた後《のち》、とうとう鬼の酋....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
果てた自己に対する、憤懣《ふんまん》よりほかに何もなかった。しかし今はその憤懣を
恣《ほしいまま》に洩《も》らす力さえ、――大樹の幹に頭を打ちつけるか、湖の底に身....
「或る女」より 著者:有島武郎
》は長い事宿題として考えられていた。葉子の頭に描かれた夫人は我《が》の強い、情の
恣《ほしい》ままな、野心の深い割合に手練《タクト》の露骨《ろこつ》な、良人《おっ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
、出入をお止め遊ばすのでございましょうと存じます。」 譬えば仙境に異霊あって、
恣に人の薬草を採る事を許さずというが如く聞えたので、これが少からず心に懸った。 ....
「女性の不平とよろこび」より 著者:岡本かの子
しても、常に或程度の収攬を、おのずから自分の上に忘れてはいけません。 美的な放
恣、つつましやかな自由、それはどうあるべきかと追求されてもこまるけれど、とにかく....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
ベルモットを好む。新鮮な色彩が眼に、芳醇な香が鼻に、ほろ苦い味が舌に孰れも魅力を
恣にする。 午後七時になるとレストラントの扉が一斉に開く。誰が決めたか知らない....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
の俺が関を知ってるだろう。」 手下四五人、稲葉太郎荒象園の鬼門彼処に有りて威を
恣にす。われは黙して俯向きぬ。国麿はじりりと寄りて、 「皆知ってるぜ、おい、皆見....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
の温泉の口の奥は驚くべき秘密を有して、滝太郎が富山において、随処その病的の賊心を
恣にした盗品を順序よく並べてある。されば、お雪が情人に貢ぐために行商する四季折々....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
方の思想を識別して向背を決するだけの文化を有していない。少数の当事者は私利我慾を
恣にしようとして盲動している。あたかも好し、この時に当って、献身者は時代の両極を....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
今集』の歌が、単に夢を食う者の容易な耽溺だと思われぬようにしたい。そこには安易や
恣意や職人的な巧緻や、そのようなものからおよそ遠いものの支配していることに気をつ....
「常に自然は語る」より 著者:小川未明
。言い換えれば自然は、自由そのものであるからだ。 雲に思いを寄せ、追懐と讃美を
恣にしたものは、いくばくの放浪者や、ロマンチストだけではなかった。シェレーや、ボ....
「松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
氏の近状を問う。主人答て曰く、團十郎は新富劇に出場せるが、該劇は近日炎帝特に威を
恣にするを以て、昨日俄に場を閉じ、圓朝は避暑をかねて、目今静岡地方に遊べりと。居....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
永禄四年にわざわざ令を発して、「諸末寺の塔主看院等、本寺に断らずして坊主と号し、
恣に居住するを得ず」と云って、その名称の濫用を禁止した程であった。しかし世の趨勢....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
永禄四年今川氏真署名の文書に、「諸末寺の塔主看院等、本寺に断らずして坊主と号し、
恣に居住するを得ず」という一節があった。これは坊主の語の正しい用い方に従わしめた....