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恣意
「恣意〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恣意の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「石狩川」より 著者:本庄陸男
とする道徳でもって。その際方針が間違っていたなぞと考えてはならぬ。仮りにも主君の
恣意《しい》がそれを強要したなぞとは、それは夢にも現われてならぬ想念であった。生....
「広場」より 著者:宮本百合子
とを云わないで、という言葉が朝子の口を出得なかった。今度の問題は、素子がそれほど
恣意的に振舞う筈のものだろうか。そういう素子を隔たった眼で眺める心が、朝子のうち....
「昭和十五年度の文学様相」より 著者:宮本百合子
い分裂が生じたのは、この数年来文学の世界に真の現実諸関係を生かそうとせず、作家の
恣意によって風俗の一断面を自身の鏡の下において眺めたり、思念の断片を一つの世界に....
「その柵は必要か」より 著者:宮本百合子
に。 「労働者階級の意識は、たとえそれが如何なる階級に関係したことであろうとも、
恣意と圧制、暴力と濫用が行われたときは、いついかなる場合にも黙過しないようになら....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
間的自由というようなものになって、今の場合興味のあることだが、それが全くの偶然(
恣意)に再び還元されて了うのである。この時現実の世界のもつ必然性は全く無意味なも....
「辞典」より 著者:戸坂潤
無意味となる。―次に実在を客観と考えることには実在論固有の理由があるので、主観的
恣意から独立な処に哲学の根拠を求めようとする必要から来る当然の帰結でなければなら....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
。軍部の見解によると、現在の日本の経済組織の欠点は、(一)経済活動が個人の利益と
恣意とに放任されて「国家国民全体」の利益と一致しないこと、(二)自由競争激化の結....
「外来語所感」より 著者:九鬼周造
制の問題はかくべつ調査や審議を要する問題ではない。要はただ実行にある。社会民衆の
恣意に任せて安堵しているのも間違っている。民衆は賢明なところもあるが愚昧なところ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ようにしておく為の忙しさというようなものが非常ですね。これ迄、作家たちの大部分は
恣意的に暮してごたく並べていたから、大洗濯うけるのも結構でしょうが、それでもやは....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
ことゝ同じことで、眠りたいから薬をのむ、中毒したから入院する、まことに二つながら
恣意的で、こうワガママでは、どこまで行っても、同じくりかえしにすぎない。 この....
「レンズとフィルム」より 著者:中井正一
それに値する刑罰を課した。人は天才の名によって、非合理性の問題を意味づけんとし、
恣意が独創の外貌をつけはじむる時、すでに情熱は一つの発熱をもたらし、不安と灰の感....
「純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
が所有量に等しい場合に関する留保。一三五 平均稀少性。一三六 交換価値が不定かつ
恣意的な条件。一三七 利用の変化及び量の変化による価格の変化、利用及び量の同時的....
「法学とは何か」より 著者:末弘厳太郎
官僚によって、計画性と安定性とをもって執行される」。かくして国家活動が「偶然性・
恣意性を脱し、あらかじめ計算しうる(予見しうる berechenber)ものとな....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
今集』の歌が、単に夢を食う者の容易な耽溺だと思われぬようにしたい。そこには安易や
恣意や職人的な巧緻や、そのようなものからおよそ遠いものの支配していることに気をつ....
「日本歴史の研究に於ける科学的態度」より 著者:津田左右吉
ならぬかの理由が説明せられず、第二に、一々の物語のそういう解釈は確実な根拠がない
恣意のものであるために、人によって相互に一致しない思い思いの解釈が加え得られるか....