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恨む
「恨む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恨むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
ながら、噛みつくようにこう云った。
「では、己《おれ》が引剥《ひはぎ》をしようと
恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」
下人は、すばやく、老婆....
「或る女」より 著者:有島武郎
と情け容赦もなくその男を振り捨ててしまった。そうして捨てられた多くの男は、葉子を
恨むよりも自分たちの獣性を恥じるように見えた。そして彼らは等しく葉子を見誤ってい....
「或る女」より 著者:有島武郎
つけ、吸収し、飽満するように見えた。愛子はその圧迫に堪《た》えないで春の来たのを
恨むようなけだるさとさびしさとを見せた。貞世は生命そのものだった。秋から冬にかけ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
れん。それで苦労して、なんでこんな苦しい娑婆に頼みもせんのに生み付けたのだと親を
恨むかも知れん。だがそのときはいってやりなさい。こっちとて同じことだ、何でも頼み....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
による被害甚大で、そのためにこれまで幾度|生命を落しかけたか知れず、醤の金博士を
恨むことは、居谷岩子女史が伊右衛門どのを
恨む比などに非ず、可愛さあまって憎さが十....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
いたんだとはいいますがね」 「ふーん、そうか。やっちまったのかい」 彼は、天を
恨むより外、なかった。車を下りてみると、森の向うは、まるで地獄のように、引繰りか....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
が、極秘の命令だから、彼は堅く護って、何もいわないで出かけたのだ。長谷部、川上を
恨むな」 「ええ、誰が恨みましょう。しかし……」 「しかし――どうした」 「川上....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
女と生れる、生きかわるわいの。死にかわるわいの。 その誰もが皆揃うて、親兄弟を
恨む、家眷親属を
恨む、人を
恨む、世を
恨む、人間五常の道乱れて、黒白も分かず、日を....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
革命も好かろう」と阿Qは想った。 「ここらにいる馬鹿野郎どもの運命を革めてやれ。
恨むべき奴等だ。憎むべき奴等だ……そうだ、乃公も革命党に入ってやろう」 阿Qは....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
他の四人も損をしまいと口を尖らして女を叱った。 叱られた女は、ここに於て主人を
恨むべく―― 「だが五人を
恨むことは――」 と女は思った。 「わたしらのような....
「迷信解」より 著者:井上円了
ゆ。正成も存命のときと違い、死ぬればさほどまでに鈍くなるものかと疑わしむ。正成が
恨むべきものは、北朝方の大将より始めて幾人もあるべし。しかるに、その方をさしおき....
「活人形」より 著者:泉鏡花
得三様。※呀と背後を見返れば以前の声が、「赤得、赤得。と笑うがごとく泣くがごとく
恨むがごとく嘲けるごとく、様々声の調子を変じて遠くよりまた近くより、透間もあらせ....
「西航日録」より 著者:井上円了
時有鳴枝葉、猶訝往年兵馬声。 (|獅子が岡の上で一望すれば大平原である。江も山も
恨むがごとくわが感情をゆり動かす。林を吹き抜ける風はときどき枝葉を鳴らし、それは....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
さんは可哀想な青年なんですのよ。私、自分の赤ン坊が殺されたんですけれど、弘さんを
恨む気にはなれません、それで、――それで実は私、先生にお願いするんです。どうぞ、....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
てみたのですが、仮りに親友が殺したにしても、その後の仕打ちが余りにも親切なので、
恨む気にもなれなかった。どんな事であろうと、罪は一人で背負おうと決心したそうです....