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恩
「恩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
級の貧困だった。退職官吏だった、彼の父は多少の貯金の利子を除けば、一年に五百円の
恩給に女中とも家族五人の口を餬《のり》して行かなければならなかった。その為には勿....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
。が、今度は北条屋《ほうじょうや》の不運に、愉快を感じたのではありません。「昔の
恩を返す時が来た」――そう思う事が嬉しかったのです。わたしにも、御尋ね者の阿媽港....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
まき起りますと、その風の中に何かいて、
「髪長彦さん。難有《ありがと》う。この御
恩は忘れません。私は食蜃人にいじめられていた、生駒山の駒姫《こまひめ》です。」と....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
でに命も取られる所を、あなた様の御かげによって、落ち延びる事が出来ました。その御
恩を思いますと、あなた様の仰有《おっしゃ》る事に、いやと申せた義理ではございませ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
らず」の前につむじ風に面するたじろぎを感じた。のみならず窮状を訴えた後《のち》、
恩恵を断るのは卑怯《ひきょう》である。義理人情は蹂躙《じゅうりん》しても好《い》....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
って、やはり松平家《まつだいらけ》の侍に不伝流《ふでんりゅう》の指南をしている、
恩地小左衛門《おんちこざえもん》と云う侍の屋敷に、兵衛《ひょうえ》らしい侍のかく....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
念《しゅうねん》の深いのには困ったものだ。」
「やっと命を助けて頂いた御主人の大
恩《だいおん》さえ忘れるとは怪《け》しからぬ奴等でございます。」
犬も桃太郎の....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
《てんごく》)の門へはいるのは、もう一息の辛抱《しんぼう》である。いや、天主の大
恩を思えば、この暗い土の牢さえ、そのまま「はらいそ」の荘厳と変りはない。のみなら....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
云う、古い札《ふだ》が下《さが》っていますが、――時々和漢の故事を引いて、親子の
恩愛を忘れぬ事が、即ち仏
恩をも報ずる所以《ゆえん》だ、と懇《ねんごろ》に話して聞....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
は便宜の異名である。「左側通行」と似たものである。
*
道徳の与えたる
恩恵は時間と労力との節約である。道徳の与える損害は完全なる良心の麻痺《まひ》であ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
たしはそうおっしゃられるほど、命が惜いように見えるでしょうか? わたしはそれほど
恩義を知らぬ、人非人《にんぴにん》のように見えるでしょうか? わたしはそれほど、....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
享《えんきょう》四年八月十五日の朝、五つ時過ぎに、修理《しゅり》は、殿中で、何の
恩怨《おんえん》もない。肥後国熊本の城主、細川越中守宗教《ほそかわえっちゅうのか....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
の仏手に掏い出されて無熱池に放されたるように我身ながら快よく思われて、造化広大の
恩人も木も石も金もともに燬くるかと疑わるる炎暑の候にまたかくの如く無尽の涼味を貯....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
なかったので、ご馳走はどれもこれもしこたま頂戴したのである。 彼は親切で、深く
恩に感じる人間であり、心が大きくなる度合は、腹の皮がご馳走でふくらむのに比例し、....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
二の橋から亀沢町に至る二つ目通り位なものだったであろう。勿論その外に石原通りや法
恩寺橋通りにも低い瓦屋根の商店は軒を並べていたのに違いない。しかし広い「お竹倉」....