恩に着る[語句情報] » 恩に着る

「恩に着る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恩に着るの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
の所作だ。割前を出せばそれだけの事で済むところを、心のうちで難有《ありがた》いと恩に着るのは銭金で買える返礼じゃない。無位無冠でも一人前の独立した人間だ。独立し....
野分」より 著者:夏目漱石
い。どこへ出ても好かれた事がない。どうせ死ぬのだから、なまじい人の情《なさけ》を恩に着るのはかえって心苦しい。世の中を不愉快にするくらいな人間ならば、中野一人を....
空を飛ぶパラソル」より 著者:夢野久作
するがね。君の手から出たタネだという事も、絶対秘密にするのは無論の事、将来キット恩に着るよ。あの記事が虚構となったら君の新聞でも困るじゃろう」 私は唸り出した....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
」 さてまた、いろいろの肝煎《きもい》り、世話焼きをしてやっているうちにも、恩に着るものばかりはない。 「通リ町ノチチブ屋三九郎ト云ウ者ガ、公儀ノキジカタ....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
んな暇がないんですよ、堪忍してください」 「まあさ、親爺の言うことも聞いてくれ、恩に着るぞ! おまえたちはどいつもこいつも不人情なやつばかりだよ、本当に! 一日....
貞操問答」より 著者:菊池寛
くのではない。会として頂くと云ってお断りしておいたわ。だから、個人としての私が、恩に着ることはないし、まして私の妹である貴女が、眼に角を立てて、ワイワイ云うこと....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
希望を入れ、拙者、貴殿へ助太刀つかまつるぞ。……ただし、拙者と貴殿とは讐敵同士、恩に着るに及ばぬ、恩にも着せ申さぬ! ……五郎蔵!」 と左門の眼が五郎蔵の方へ....
四月馬鹿」より 著者:織田作之助
本だけ! 絶対に二本とは言わん。咽が乾いて困るんだ。脳味噌まで乾いてやがるんだ。恩に着るよ。たのむ! よし来たッといわんかね」 「だめ!」 「じゃ、十分だけ出し....
痀女抄録」より 著者:矢田津世子
無言の行だったからなあ」 ゴム靴の釦をはめている中尾の背へ、龍子は気弱く、 「恩に着るわよ」と声をかけた。 その夜、中尾がまた立寄った。 「万事済みましたよ....