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「恩典〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恩典の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青木の出京」より 著者:菊池寛
すべての仕事は、ことごとく雄吉の負担であった。それと反対に、近藤家から与えられる恩典の大部分は青木が独占した。が、雄吉はそうした自分の従属的な生活を、少しも後悔....
若杉裁判長」より 著者:菊池寛
たでしょう。が、若杉裁判長は、罪を憎んで五年の懲役をいい渡すと同時に、執行猶予の恩典を付けることを忘れませんでした。この被告については、村の村長を筆頭として、百....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
郷二千三百石をその知行所に当てた上、これを上野介に任官せしめて、特に格式三万石の恩典を与えました。即ち、その内実は二千三百石の微々たる御陣屋住いに過ぎないが、い....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
下伊那郡の方で涜職の行為があって終身懲役に処せられ、佐賀の事変後にわずかに特赦の恩典に浴したとのうわさがあるくらいだ。政府は人民の政府ではないかと言いながらも、....
獄中記」より 著者:大杉栄
た、よし本当に好意でそう言ってくれたものとしても、僕等に仮出獄なぞといういわゆる恩典があるものと思うのもあまりに間が抜けている。まるで僕等を知らないんだ。それだ....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
は従来、公務の余暇を以て創作に従事し得る――或は創作の余暇を以て公務に従事し得る恩典に浴していたからである。 予の寡聞を以てしても、甲教師は超人哲学の紹介を試....
薬指の曲り」より 著者:田中貢太郎
を相続することはできなくなりましたが……、其の時すぐ養子をすると、まだ一代は其の恩典に浴することはできましたが、私の家にはちょっとした財産がありまして、其の日に....
奉行と人相学」より 著者:菊池寛
依って、判決文が、よみ上げられた。 笞刑などは、当時は、現代の執行猶予くらいの恩典だった。 が、隠徳の相と盗心の相とは、両立するものと見え、木鼠長吉は、改心....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
し合わしたことには、実に今度の事は不思議なことであった。他の老齢の諸先生方がこの恩典に預かったことはあり得べきことと思われるが、われわれはまだ老人というわけでも....
かもじの美術家」より 著者:神西清
しかももう、責めも苛なみもされない境涯なんだよ。伯爵はあの人に、かいびゃく以来の恩典をほどこしたんだよ、――その話はその話で、夜が更けてからすっかりして上げるが....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
小説は百頁から百五十頁一冊の単行本で、原稿料は十円に十五円、僕達はまだ容易にその恩典には浴し得なかったのであるが、当時の小説家で大家と呼ばれた連中まで争ってこれ....
かたき討雑感」より 著者:岡本綺堂
要するに仏事参拝にかこつけて、かたきのゆくえ捜索を黙許されたもので、それは非常の恩典であると伝えられたそうである。それとても江戸から九州までの道筋に限られている....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
して活躍したものに万歳・布施・越智などの名がしばしば繰り返されている。先年贈位の恩典に浴したがために、子孫が所々に現れて悶着している南朝の忠臣開住西阿の如きも、....
特殊部落ということについて」より 著者:喜田貞吉
のは、全然その仲間から除外されているものたる事が明らかになる。また現に救済改善の恩典に浴しているものは、一日も早くその仲間から除外されて、普通民と同じく立派な国....
融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
賤民の階級に置かれ、奈良朝に雑戸が解放せられまして、平民の身分を得た際にも、その恩典に与るをえなかったものとみえます。 前章に述べた雑戸や、家人、奴婢、陵戸の....