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恩命
「恩命〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恩命の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ま》りをつけねばならぬ所から、家中手分けをして野へ出ることになった。それで甘露的
恩命が僕等|両人《ふたり》に下ったのである。兄夫婦とお増と外に男一人とは中稲《な....
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
やらんで何を致しますかと伺うと、ただ出席してみんなに顔さえ見せれば勘弁すると云う
恩命であります。そこで私も大決心を起して、そのくらいの事なら恐るるに及ばんと快く....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
を連れてまいりましたは、あなたに対しては何とも相済みません、若江は亡られた親御の
恩命に背き、不孝の上の不孝の上塗をせんければならず、拙者は何処へも往き所はないが....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
の場合であった。この苛烈さは、宗家が新政権の前をつくろったに過ぎまい、不日、再び
恩命に接するに相違あるまい――と。
ところが、
恩命どころではなかったのだ。没収....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
な俗情的な挨拶や謙遜を以て己を飾るべき場合でなかったようである。翁も亦、能静氏の
恩命を思い、流儀の大事を思い、翁の本分を省み、且つ、依頼者の知遇を思えば、引くに....
「堺事件」より 著者:森鴎外
十六人は互に顔を見合せて、微笑を禁じ得なかった。竹内は一同に代って答えた。 「
恩命難有くお受いたします。それに就いて今一箇条お願申し上げたい事がございます。こ....
「入社の辞」より 著者:夏目漱石
》で御営業になるのとの差|丈《だ》けである。 大学では四年間講義をした。特別の
恩命を以《もっ》て洋行を仰《おおせ》つけられた二年の倍を義務年限とすると此四月で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
下の麒麟児《きりんじ》として、徳川の興亡を肩にかけて起つ人となり、ここに、受爵の
恩命が伝わること偶然ならずと言わなければなりません。これより先、受爵の内命が伝わ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
窃に聞けば、これは世子の思召で、私どもの才を惜み、父の責罰中ではあれど、特にこの
恩命を下されたのであるらしい。また多少は久しく輔佐となっていた父に対しても、間接....
「東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
は他行不在であったから、留守の者にこれを渡して帰った。宗祇は庵に戻って見ると忝き
恩命を拝したことがわかり、一壺の酒と一緡《いちびん》の銭とを持って、すぐさま実隆....
「源氏物語」より 著者:紫式部
抜擢しておすえになった。院もお礼の御|挨拶をあそばされたが、それは、 「突然の御
恩命はあまりに過分なお取り扱いで、若い彼が職に堪えますかどうか疑問にいたしており....
「四十八人目」より 著者:森田草平
お咎めがなかった点から見ても、その渦中にあった浅野家の浪人どもには、今にも再興の
恩命が下るように思われたかもしれない。 とにかく、内蔵助からしてそういう気持で....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
れない因縁は、いまさらここに事新しくいうまでもない。今日天下の富豪となり授爵等の
恩命に浴した人々も、その源に遡れば多くはこの御用商人として政府の御用を達し、同時....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
て花の大江戸にと入るのであった。父君二代将軍に謁見すれば、家の事に就ても新たなる
恩命、慶賀すべき沙汰が無いとも限るまい、愛児の為に悪しゅうは有るまいと、空頼みと....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
「今年こそは、果たさなくては相すまぬ」と、夢寐にも、思いつづけて来たとはいえ、御
恩命を拝してから二十一年の歳月を経たことは、誠に畏れ多く相すまぬ次第ではございま....