恩怨[語句情報] » 恩怨

「恩怨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恩怨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠義」より 著者:芥川竜之介
享《えんきょう》四年八月十五日の朝、五つ時過ぎに、修理《しゅり》は、殿中で、何の恩怨《おんえん》もない。肥後国熊本の城主、細川越中守宗教《ほそかわえっちゅうのか....
男女同権」より 著者:太宰治
は、いつか詩人の会でたったいちどちらと顔を合せた事があるくらいのもので、個人的な恩怨《おんえん》は何も無かった筈でございますのに、どうして私のようなあるか無きか....
雛妓」より 著者:岡本かの子
たものがあるようであった。「おまえと息子には屹度、巴里を見せてやるぞ」と言った。恩怨の事柄は必ず報ゆる町奴風の昔気質の逸作が、こう思い立った以上、いつかそれが執....
縮図」より 著者:徳田秋声
りを曝け出したりしたので、九分九厘まで駄目となったこの際に、心残りのないように、恩怨に清算をつけるのだった。 銀子の譫言も、こんな家にいたくないから、早く田舎....
謀叛論(草稿)」より 著者:徳冨蘆花
桜田の雪を紅に染めて、井伊が浪士に殺される。斬りつ斬られつした両人も、死は一切の恩怨を消してしまって谷|一重のさし向い、安らかに眠っている。今日の我らが人情の眼....
石狩川」より 著者:本庄陸男
三郎がどうあろうと、あるいはトキ女の実父どもがどういう心を持っていようと、そんな恩怨《おんえん》は、疾《とっ》くの昔に消えている。共に行動を起したあとは、家中の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
し合わせて、全く人目を避けたこの海岸に来て、生命を端的の輸贏《ゆえい》にかけて、恩怨を決死の格闘に置くの約束が果されようとしているのだ。 それも、普通の田夫漁....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
様には腕が千本ある」 「もう、腕の話はやめ……それはそうとしてお絹さん、お前も、恩怨《おんえん》の念は別として、ぜひ一度あの一座を見てお置きなさい、たしかに前例....
酒ぎらい」より 著者:太宰治
残っていて、実に不思議な気がした。Wという名前を覚えていないし、それこそ、なんの恩怨もないのだし、私は高等学校時代の友人の顔でさえ忘れていることが、ままあるくら....
自由人」より 著者:豊島与志雄
でも嫌いでもなかった。ただのありふれた普通の人にすぎないのだ。その普通の人、何の恩怨も関心もない人に対して、好悪の感情を持てというのは、わたしのプライドを傷つけ....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
抜き身をソロリと鞘へ納めたが、 「競争をなさらないと仰せられるならば、何の拙者が恩怨もない貴殿へ、敵対などをいたしましょう。……しかしあらかじめ申し上げて置きま....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
ていた。故主の位牌妻子の位牌、それから八沢の橋の上で討ち果たした二人の敵の位牌!恩怨二ツ乍ら差別を立てず、彼は祭っているのであったが、看経中ばに不図彼は不思議な....
弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
た方々に申す。拙者は旅の武士でござって、今宵この館に宿を求めた者、従って貴殿方に恩怨はござらぬ。又この館の人々とも、たいして恩も誼もござらぬ。がしかしながら見受....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
そ、この一大事をお任せ下さるのだ。自分は幕府に対しても、又徳川家に対しても、何等恩怨ある者ではない。ただ士は己を知る者のために死す。一つ大いに頼まれようと、決心....
無題」より 著者:太宰治
思いつきだ。僕は大井広介とは、遊んだ事もあまり無いし、今日まで二人の間には、何の恩怨も無かった筈だが、どういうわけか、このような難題を吹きかける。実に、困るのだ....