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「恩給〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恩給の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
級の貧困だった。退職官吏だった、彼の父は多少の貯金の利子を除けば、一年に五百円の恩給に女中とも家族五人の口を餬《のり》して行かなければならなかった。その為には勿....
二老人」より 著者:国木田独歩
ちょうど一本の煙草《たばこ》をすい切った。 石井翁は一年前に、ある官職をやめて恩給三百円をもらう身分になった。月に割って二十五円、一家は妻に二十《はたち》にな....
駈落」より 著者:佐左木俊郎
の若い人達に自慢して見たところで、爺さんは、金鵄《きんし》勲章《くんしょう》も、恩給証書ももらっていなかったから。 「今の奴等あ、ろぐろぐ稼ぎも出来ねえで、贅沢....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
入口には青い暖簾をかけて、「金融野瀬商会」 べつに看板を掛けた。それには、 「恩給・年金立て替え 貯金通帳買います 質札買います」 恩給・年金の立て替え....
映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
て映画従業員の月給は上は数千金から下は無給の例さえあるのである。 映画会社には恩給制度、退職手当に関する制度がほとんど行なわれていない。年功による昇給に関する....
琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
果は何時も多数で存続と定まるものである。私の如きも××省の書記を勤め、もうやがて恩給もつこうと云う四十幾つの身で、家内のほかに男とてもなし、頗る迷惑を感じながら....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
妙な事情がからんでいるからだ。 「ええ、あいつらは何をするか知れたもんじゃない。恩給と植民地の無頼漢生活とをあてに、十年十五年と期限を切って、わざわざこんな植民....
獄中消息」より 著者:大杉栄
が取れるようなら、五百円ぐらいは出して当然かと思う。年金の外、この十二月には父の恩給の半年分が下ると思う。他は足下が行ってよく調べて貰いたい。 その次は子供の....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
う。」と、詩人はいいました。「そのかわりくらしの心配はいらないのだ。年をとれば、恩給がもらえるしな。」 「やはりなんといっても、きみのほうがいいくらしをしている....
氷河」より 著者:黒島伝治
長を見ると、いきなり、その慰問袋から興味をなげ棄てた。 「看護長殿、福地、なんぼ恩給がつきます?」 栗本には思いがけないことだった。彼は開けさしの袋をベッドに....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
せるようなことは一切しませんでした。晩年は、世にある方たちには思いも寄らぬ少額の恩給だけでの生活でしたが、家内中の誰も、それを不足だとは思いもしませんかった。い....
母と娘」より 著者:岡本かの子
の戦線へ出征して行った。而して間も無く戦死を遂げたのであった。其の後の母娘は遺族恩給で余り贅沢は出来ぬが普通な生活を続けて来た。 夫を失ったスルイヤは一人娘を....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
楽どころかむしろ逼迫していた。これより二、三年前、二葉亭の先人は官を罷めて聊かの恩給に衣食し、二葉亭の毎月の学費も最後の一、二年は蓄財を割いて支弁しつつ万事の希....
審判」より 著者:カフカフランツ
たからである。そのうえ、こんな仕事はなんと憂鬱だったことだろう。それはおそらく、恩給をもらって退職した後で耄碌した精神を働かせ、長い毎日を暇つぶしする助けとして....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
かね?』と切り出してきた。なんでも彼の友人に予備の陸軍大尉の荒川という人がいて、恩給や年金でなにかいい仕事をやりたい、と捜しているというのだ。『あるよ、あるとも....