»
恬
「恬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
して下さるでしょうか?」
広子はもう一度|苛立《いらだ》たしさを感じた。それは
恬然《てんぜん》と切りこんで来る妹に対する苛立たしさでもあれば、だんだん受太刀《....
「河童」より 著者:芥川竜之介
答を聞いていたゲエルは手近いテエブルの上にあったサンドウィッチの皿を勧めながら、
恬然《てんぜん》と僕にこう言いました。
「どうです? 一つとりませんか? これも....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
わざ外套を脱ぎ、丁寧にお墓へお時宜《じぎ》をした。しかし僕はどう考えても、今更|
恬然《てんぜん》とK君と一しょにお時宜をする勇気は出悪《でにく》かった。
「もう....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
い。彼のお時儀に? 彼は――堀川保吉《ほりかわやすきち》はもう一度あのお嬢さんに
恬然《てんぜん》とお時儀をする気であろうか? いや、お時儀をする気はない。けれど....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ど柔しい微笑を漂わせながら、
「ええ、そう云えば一番早いかも知れませんね。」と、
恬然《てんぜん》として大井に賛成した。
十四
「成程、そりゃ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
目を曝《さ》らしていた。今人は少数の専門家を除き、ダアウインの著書も読まぬ癖に、
恬然《てんぜん》とその説を信じている。猿を先祖とすることはエホバの息吹きのかかっ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
夫の理学士は、多年西洋に留学して、身は顕職にありながら純然たる学者肌で、無慾、
恬淡、衣食ともに一向気にしない、無趣味と云うよりも無造作な、腹が空けば食べるので....
「食魔」より 著者:岡本かの子
から来てしまった。親子のものはほとんど裸同様で寺を追出される形となった。これみな
恬澹な名僧といわれた父親の世務をうるさがる性癖から来た結果だが、母親はどういうも....
「第四次元の男」より 著者:海野十三
であろう。ところが、このわたくしは、そういう賢明人種とはちがい、至って生来無慾|
恬淡の方であるからして、なにごとも構わずぶちまけて、一向に憚らない次第である。 ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
自由を礙げ、あわれ肩をも抑うるばかりに覚えたりき。 疑うべき静穏! 異むべき安
恬! 名だたる親不知の荒磯に差懸りたるに、船体は微動だにせずして、畳の上を行くが....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
ても心はかの女に接触している満足で帰って行くのが解っていた。かの女は青年の表面の
恬淡さにかえって内部の迫真を感じた。これが青年のいつぞや云った「素焼の壺が二つ並....
「春」より 著者:岡本かの子
、不意に、京子のその半面の気違いのロマンチックに出遇う。――今年うちの色彩なり、
恬淡さを好んでも居る。そして加奈子はそっと京子の陰へ廻って肉や肴を喰べた。 ――....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
古典劇の名手として一部の賞讃を博し得たであろうが、彼はすべてにおいて余りに無欲|
恬淡、殆んど一種の仙人か子供のようであったらしい。かれは幼年時代に木から墜ちてそ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
河内家の先代|輝音侯というは頗る風流の貴族で常に文墨の士を近づけた。就中、椿岳の
恬淡洒落を愛して方外の友を以て遇していた。この大河内家の客座敷から横手に見える羽....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
等下等七、八百人あり。午後六時抜錨。湾内の夜景、実に吟心を動かす。 遼湾風浪晩来
恬、涼月印夜港頭却多趣、万灯影裏一峰尖。 (遼湾の風浪は夕方になっておだやかとな....