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「息の下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

息の下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
相手はもう姿を隠していた。次右衛門は刃物で喉《のど》と胸を刺されていたが、微かな息の下で云った。 「大……年……年造……」 まだ何か云いたそうであったが、それ....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
うしても言えなかったのだろう。私はそれでも逃げた。しかし彼女が別れのときに苦しい息の下から言わんとした意味はよく私にわかっていた。 デルタというのは君も知って....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
針に刺された標本箱の蛾のように板壁へ釘づけにされた安吉へ、女が寄添うと、断末魔の息の下から必死の声を振絞って、 「く、く、釧路丸の……」 とそこまで呻いて、あ....
臨終まで」より 著者:梶井久
屋中を馳け廻って医師を探せなどと無理を言いました。どうぞ赦して下さい」と苦しげな息の下から止ぎれ止ぎれに言って、あとはまた眼を閉じ、ただ荒い息づかいが聞えるばか....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
ると、ゆがんだ音声がマイクに入る。百歳に近い老人が死床《しにどこ》にいて、苦しい息の下から遺言《ゆいごん》をするような場合も、音声は相当ゆがんでいるであろう。 ....
火星兵団」より 著者:海野十三
でつくりものの目だ。 火星人の、のたうち廻るのを押さえつけながら、先生は苦しい息の下に、なおも敵の体に気をつける努力を忘れなかった。 先生は火星人の口を見た....
地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
ながら、はあはあと、苦しそうな息をした。しかし、さすがは軍人であった。その苦しい息の下からも、二人を相手にすることは忘れなかった。 「おい、両人。おれを抱えて、....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
若い女の笑声が響いた。 向うに狗児の形も、早や見えぬ。四辺に誰も居ないのを、一息の下に見渡して、我を笑うと心着いた時、咄嗟に渋面を造って、身を捻じるように振向....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
耐えられませぬ処から、 (御免なさいまし、御免なさいまし、思い切ります。) と息の下で詫びまする。それでは帰してやると言う、お雪はいつの間にか旧の閨に帰ってお....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
方へ廻ったと思うと、向うの舷の陰になった。 苫がばらばらと煽ったが、「ああ」と息の下に叫ぶ声。藁を分けた艶なる片袖、浅葱の褄が船からこぼれて、その浴衣の染、そ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
て、取乱した態もそのまま、婦同士、お綾の膝に乗掛って、頸に手を搦みながら、切ない息の下で、 (済まないわね。) と言うのが、ほとんど例になっていたそうです。―....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
』こうして妾は良人の死後……」 「その御先代の死態だが……」 いよいよ迫る死の息の下で、主馬之進は云いついだ。 「変死、怪死、他殺の死と、人々によって噂され、....
剣侠」より 著者:国枝史郎
の肩を、胸にかけて割りつけた。 「ヒ――ッ」と仆れてノタウツお妻! でも断末魔の息の下で、 「主水様、この世の名残りに、お目にかかれて本望でござんす……二人一緒....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
だも一緒に揉み苦茶になって、結い立ての島田髷も根から頽れてしまった。彼女は苦しい息の下で、泣きながら男に詫びた。 「その疑いももう晴れました。お免しなされて下さ....
多神教」より 著者:泉鏡花
に投ぐ)やあ、もはや陳じまいな、婦。――で、で、で先ず、男は何ものだ。 お沢 (息の下にて言う)俳優です。 ――「俳優、」「ほう俳優。」「俳優。」と口々に言い継....