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息を吐く
「息を吐く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
息を吐くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
夕凍《ゆうじ》みの匂いに混じって来た。一日の仕事を終えたらしい大工のような人が、
息を吐く微かな音をさせながら、堯にすれちがってすたすたと坂を登って行った。 「俺....
「海異記」より 著者:泉鏡花
ないが、潮は足あとのように濡れて、砂浜を海方へ続いて、且つその背のあたりが連りに
息を吐くと見えて、戦いているのである。 心弱き女房も、直ちにこれを、怪しき海の....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ンヤリしているものもあった。元気に噪いで喋べり捲ってるかと思うと、笑声の下から歎
息を吐くものもあった。空気が動揺していた。塵埃が舞っていた。焦臭い臭いが充満して....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
?」 逆立った眼で葉之助を見据え、紋兵衛は瞬ぎもしなかったが、ようやくホッと溜
息を吐くと、「人違いであった。山吹ではなかった。そうだあなたは葉之助様だ……が、....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
太夫様の御光明に照らされますだけでも、この疚痛は忘られましょう。」と、はッはッと
息を吐く。…… 既に、何人であるかを知られて、土に手をついて太夫様と言われたの....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
湿っぽい井戸端を、草履か、跣足か、沈んで踏んで、陰気に手水鉢の柱に縋って、そこで
息を吐く、肩を一つ揺ったが、敷石の上へ、蹌踉々々。 口を開いて、唇赤く、パッと....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ますよ。切符代なんて、てんで集まらないし……僕は、すっかり憂鬱になりますな。」溜
息を吐くと、小池は卓子の上に肘をついて、圭子を見た。 「初めての試みなんですから....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
がらの精妙の手練に、三右衛門は感に耐えながらも、今は褒めている場合でない。重い溜
息を吐くばかりであった。 「二尺八寸の短筒ながらこの素晴らしい威力はどうだ! 携....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
のである。 「さあ来やあがれこん畜生!」――こう罵った声の下からハッハッハッと大
息を吐くのは体の疲労れた証拠である。しかも彼は罵りつづける。 「……おおかたこう....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
るのは当然である。 しばらく二人とも物を云わない。互いに顔さえ見合わさない。溜
息を吐くばかりである。 すっかり夕の陽も消えた。窓外がだんだん暗くなる。花木の....
「火の扉」より 著者:岸田国士
なつて来たんです……」 市ノ瀬牧人は、そこでちよつと考えこんだ。そして、大きく
息を吐くといつしよに、 「これは、まあ、宿命のようなもんです。それと同時に、こい....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
字に掻き切られてしまったのだよ。何故なら、縊死者の眼を見ても判る通りだが、激しい
息を吐く際には、脳が膨張するので、眼球がそれに圧されて、突き出てしまうのだ。また....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
えたのだが、こればかりはどうにもならぬので、宗匠と茶店の嬶さんと顔を見合せて、溜
息を吐くばかり。 此時、葭簀の陰で、不意に女の泣声がした。喫驚して見ると、それ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
まま私の首筋に、袖口が熱くかかったなり、抱き据えて、腰をたてにしたまで、すべて、
息を吐く隙がない。
息を吐く隙がありません。 土俵が壊れたような、相撲の総立ちに....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
いた時には、一隊の多くは既に疲れ果てて、そこらに有合う岩角に腰を卸して先ずほッと
息を吐く者もあった。寒気を凌ぐ為に落葉を焚く者もあった。 けれども、巡査は流石....