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息苦しい
「息苦しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
息苦しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
藤判官《とうほうがん》の屋敷へ、行くという事を。」
次郎は、耳を信じなかった。
息苦しい官能の刺激も、一瞬の間《あいだ》に消えてしまう。――彼はただ、疑わしげに....
「母」より 著者:芥川竜之介
、短い口髭《くちひげ》を引張ったきり、何ともその事は云わなかった。
「あなた。」
息苦しい沈黙の続いた後《のち》、こう云う声が聞えた時も、敏子はまだ夫の前に、色の....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
。僕はあっと思った拍子《ひょうし》に脳貧血か何か起したのであろう。いつかまた妙に
息苦しい無意識の中に沈んでしまった。
× × ....
「影」より 著者:芥川竜之介
》の窓掛けを垂れた部屋の内には、不相変《あいかわらず》残暑の寂寞《せきばく》が、
息苦しいくらい支配していた。その寂寞を破るものは、ニスの※《におい》のする戸の向....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
になるのでございますか。』と、艶《なまめか》しい声をかけるじゃありませんか。私は
息苦しい一瞬の後、今日も薔薇を髪にさした勝美《かつみ》夫人を冷《ひややか》に眺め....
「女」より 著者:芥川竜之介
《ざんぎゃく》を極めた悲劇は、何度となくその後繰返された。が、紅い庚申薔薇の花は
息苦しい光と熱との中に、毎日美しく咲き狂っていた。――
その内に雌蜘蛛はある真....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
を聞いている内に、刻々素戔嗚の心の中《うち》には、泣きたいような、叫びたいような
息苦しい羞憤《しゅうふん》の念が、大風のごとく昂《たか》まって来た。
「そうして....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
く引包まれたかの思がして、手足も顔も同じ色の、蝋にも石にも固るか、とばかり次第に
息苦しい。 白昼凝って、尽く太陽の黄なるを包む、混沌たる雲の凝固とならんず光景....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
はふだんのように笑ったり話したりする気はなかった。唯きょうまで知らなかった、妙に
息苦しい感慨の漲って来るのを感じただけだった。 番紅花の紅なるを咎むる勿れ。 桂....
「恐竜島」より 著者:海野十三
かうこと、そしてこの犬の食費として十ドルを支払うことを承知させた。そこでポチは、
息苦しい破れトランクの中にあえいでいる必要がなくなって、大いばりで船中や甲板《か....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
余、海へ出て、暑さに泳いだ豪傑がある。 荒海の磯端で、肩を合わせて一息した時、
息苦しいほど蒸暑いのに、颯と風の通る音がして、思わず脊筋も悚然とした。……振返る....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
|立処に高く響くあるのみ。その静さは小県ただ一人の時よりも寂然とした。 なぜか
息苦しい。 赤い客は咳一つしないのである。 小県は窓を開放って、立続けて巻莨....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
て入り口のドアに駈けよると、そのドアはわたしの押さないうちにうしろへ倒れた。重い
息苦しい空気のただよっている玄関の、うす暗い灯のなかに突っ立って、私は異常の怖ろ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
と下へ落ちた。そうしてその四角な穴の中から、煤を溶したようなどす黒い空気が、俄に
息苦しい煙になって、濛々と車内へ漲り出した。元来|咽喉を害していた私は、手巾を顔....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
、それが彼の行為や、胸底に抱いていた諦念を解釈する暗示のように思えて、やはり私の
息苦しい気持を救った。 「新聞の記事によると、自首したというのでむしろ加害者の方....