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息詰る
「息詰る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
息詰るの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
以外には知る者がないのです」
次の瞬間、唾を嚥む隙さえ与えられなかった一同が、
息詰るような緊張を覚えたと云うのは、法水が両側の把手を握って、重い鉄扉を観音開き....
「黄金の枕」より 著者:田中貢太郎
おるところでございます、御迷惑でも、面白いお話を聞かせて戴きましょう」 道度は
息詰るような気がして顔をまっすぐにすることができなかったが、しだいにくつろぎを感....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
御座います」
「……ボ……僕の名前を思い出させる……」
こう叫んだ私は、突然、
息詰るほどドキッとさせられた。……もしかしたら……その怪事件の真犯人というのが私....
「旅愁」より 著者:横光利一
が、暫くは、脱そうとする久慈の視線をぴたぴたと抑えて追っていく。視ているものらは
息詰る瞬間の切迫さで皆黙った。
「うむ?」
と東野は、誘いの水を向ける無意味な....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
するするっと頬の上へ転がり出した。 * 膳が並べられ出すと、
息詰るような涙ぐましい気持で、捨吉爺はもう堪らなくなって来た。同時に、お房に対し....
「労働者の居ない船」より 著者:葉山嘉樹
その船を動かす蒸汽のようなものだ。片っ端から使い「捨て」られる。 暗い、暑い、
息詰る、臭い、ムズムズする、悪ガスと、黴菌に充ちた、水夫室だった。 病人は、彼....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
爆撃機の編隊だ。見なれないその異様な恰好! 一秒、二秒、三秒…… 高射砲は、
息詰るような沈黙を見せている。射撃指揮手は、把手をグルグルと左右に廻して目盛を読....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
て眠っていて、街灯は紅玉のようにかすかに輝いていた。そしてその低く深く垂れこめた
息詰るような霧の中を、都会の交通機関が相変らず強風のような音を立てて大通りを通っ....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
ドっと走りはじめたのである。そうして、細かい雨と冷たい闇とを挟んで、二人の間には
息詰るような沈黙が流れていった。 すると、背後に跫音がして、ひとりの警部補がヌ....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
ら、主税の挙動を窺っていた。 部屋の気勢は殺気を帯び、血腥い事件の起こる前の、
息詰るような静寂にあった。 「そうか」と頼母はやがて云った。 「物を云わぬな、黙....
「魔都」より 著者:久生十蘭
士は時計の秒針を覗き込みながら今正に片手を挙げて九時十二分の合図をしようとする、
息詰るような瞬間。
やがて博士は自信に満ちたような面持でサッと空ざまに腕を挙げ....
「仙人掌の花」より 著者:山本禾太郎
」 部屋に帰った閑枝は、もの憂い心で新聞の頁を繰った。そしてその三面を見ると、
息詰るような驚きに打たれて、我知らず新聞をとりあげた。 その三面には、かつて片....
「死者の権利」より 著者:浜尾四郎
落とすより外はありませぬ。 自動車は猛獣のような声を立てて進んで行きます。真に
息詰るような数秒間でした。 真昼のような光景が、ぐんぐんと前に進んで行きます。....