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恰も
「恰も〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
恰もの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星あかり」より 著者:泉鏡花
真黒な暗夜だったから、その灯で松の葉もすらすらと透通るように青く見えたが、今は、
恰も曇った一面の銀泥に描いた墨絵のようだと、熟と見ながら、敷石を蹈んだが、カラリ....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
タッタラッタ、ラッタッタッ。 ラッタラッタ、タッタララ。 踊り子たちは、
恰も木製の人形であるかのようにギゴチなく手足を振った。 (おお、このなかに、義眼....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
すると、丸善は今焼けてるという交換局の返事だから、そりゃ大変というので……』と、
恰も一里も先きに火事があったように悠々閑々と咄していた。 只見ると、持出された....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
談じ米塩を説いて少しも憚からず。然るに独り文人が之を口にする時は卑俗視せられて、
恰も文人に限りては労力の報酬を求むる権利が無いように看做されてる。文人自身も亦此....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
をふるわせ、 「つまり本艇は、好まざる力によって、或る方向へ引かれつつあります。
恰も流れる木の葉が渦巻の近くへきて、だんだんとその方へ吸いよせられていくように…....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
憶のなくなったことを、なるべく急には言うまいと思った。そのうちに、何かの拍子で、
恰も緞帳が切って落されたように、一ぺんに自分の過去が思い出されるかもしれないと、....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
を思ったか、また引返してきて、杜の前に突立った。そしてまるで別人のような態度で、
恰も命令するかのように、 「さあ、これからあたしと一緒に行くのよ。あたしのうちに....
「白い下地」より 著者:泉鏡花
何処かに消して了う。 要するに、其の色を見せることは、其の人の腕によることで、
恰も画家が色を出すのに、大なる手腕を要するが如しだ。 友染の長襦袢は、緋縮緬の....
「科学時潮」より 著者:海野十三
しくついていた。 先登に駈け出して行った死刑囚の一人が見えなくなっていた。彼は
恰も此の好機逸すべからずと、死の谷の方へ脱兎の如くに早く駈け出して行ったのだった....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
露仏等の諸国も来りて新条約の仲間入したれども、その目的は他に非ず、日本との交際は
恰も当時の流行にして、ただその流行に連れて条約を結びたるのみ。 通商貿易の利益....
「キド効果」より 著者:海野十三
博士のその異常興奮が、博士の測定されるあらゆる実験結果の中に混入していたのです。
恰も測定される方の人間に精神異常の素質があるように誤解されていたのです。これは外....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
、が偶々その連中が、吾々人間の出入する道を通った時分に、人間の眼に映ずる。それは
恰も、彗星が出るような具合に、往々にして、見える。が、彗星なら、天文学者が既に何....
「感応」より 著者:岩村透
れを初めたのであった。 この男が、まだ布哇の伯母の家に、寄寓していた頃、それは
恰も南北戦争の当時なので、伯母の息子|即ちその男には従兄に当たる青年も、その時自....
「死体室」より 著者:岩村透
一方が死体室で、その横には、解剖学の教室があるのだが、この小使が初めて来たのが、
恰も冬のことで、夜一人で、その部屋に寝ていると、玻璃窓越しに、戸外の中庭に、木枯....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
数日前、船頭の許に、船を用意せしめおきしが、
恰も天気好かりければ、大|生担、餌入れ岡持など提げ、日暮里停車場より出て立つ。時....