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「恰好〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恰好の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
を一瞥した。するとその襖側《ふすまぎわ》のうす暗がりには、私の全く見知らない四十恰好《しじゅうがっこう》の男が一人、端然として坐っていた。実を云えばその瞬間、私....
報恩記」より 著者:芥川竜之介
守っていました。そう云えば威《い》かつい肩のあたりや、指節《ゆびふし》の太い手の恰好《かっこう》には、未《いまだ》に珊瑚礁《さんごしょう》の潮《しお》けむりや、....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
の敵《かたき》が明かになった。甚太夫と平太郎とは、年輩こそかなり違っていたが、背恰好《せいかっこう》はよく似寄っていた。その上|定紋《じょうもん》は二人とも、同....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
横顔しか見せていないにも関らず、あの駝鳥《だちょう》の卵のような、禿《は》げ頭の恰好と云い、あの古色蒼然としたモオニング・コオトの容子《ようす》と云い、最後にあ....
将軍」より 著者:芥川竜之介
た。そうして後《うしろ》の黒幕の外へ、頭からさきに這《は》いこんでしまった。その恰好《かっこう》は贔屓眼《ひいきめ》に見ても、大川の水へ没するよりは、蚊帳《かや....
秋山図」より 著者:芥川竜之介
い人ではありません。いや、むしろその蒼白《あおじろ》い顔や華奢《きゃしゃ》な手の恰好なぞに、貴族らしい品格が見えるような人物なのです。翁はこの主人とひととおり、....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
の母の顔に似ているかも知れない。僕は時々幻のように僕の母とも姉ともつかない四十|恰好《かっこう》の女人が一人、どこかから僕の一生を見守っているように感じている。....
溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
ると、妹の言葉通りに、これまでのとはかけはなれて大きな波が、両手をひろげるような恰好《かっこう》で押寄せて来るのでした。泳ぎの上手なMも少し気味悪そうに陸の方を....
親子」より 著者:有島武郎
着いた。彼ははじめてその人を見たのだった。想像していたのとはまるで違って、四十|恰好の肥った眇眼の男だった。はきはきと物慣れてはいるが、浮薄でもなく、わかるとこ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
蔭には尊さそのものをも冰らせるような淋しさが潜んでいる。 ただ私は私自身を私に恰好なように守って行きたい。それだけは私に許される事だと思うのだ。そしてその立場....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
遥かなる、広い広い野原に出て了いました。見ればそこら中が、きれいな草地で、そして恰好の良いさまざまの樹草……松、梅、竹、その他があちこちに点綴して居るのでした。....
狂女」より 著者:秋田滋
いた。どれを見てもみな同じように、例の普魯西の兵隊独特の操り人形よろしくと云った恰好をして歩いている。やがて、頭立った将校があつまって、部下の将兵を民家に割りあ....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
し、帰って来れば来るで、三十年このかた同じ場所に置いてある家具のいつ見ても変らぬ恰好、新らしかった頃から知っている肱掛椅子の擦り切れたあと、自分の部屋の匂い(家....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の尖った肱はばったの足のように突きだし、鞭はその手に真直ぐに立て、笏をもつような恰好だった。馬がからだを揺りながらのそのそ歩いてゆくと、彼の腕は、鳥が翼をばたば....
まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
学生の集団との間に対峙が続いて、われわれは捕まると殴られるというので普通の学生の恰好をしては、危なくて歩けない状態であった。それでぶつかるのを極力避けていたのだ....