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悒
「悒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
は前と同じに鋭く輝いていた。葉子は正面に向き直るとともに、その男のひとみの下で、
悒鬱《ゆううつ》な険しい色を引きしめた口のあたりにみなぎらした。木部はそれを見て....
「或る女」より 著者:有島武郎
にはいつ戸をあけたとも知らず物置き小屋の中にはいっていた。
三六
底のない
悒鬱《ゆううつ》がともするとはげしく葉子を襲うようになった。いわれのない激怒がつ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は必ずしも彼れをきまった型には酔わせなかった。或る時は彼れを怒りっぽく、或る時は
悒鬱《ゆううつ》に、或る時は乱暴に、或る時は機嫌よくした。その日の酒は勿論《もち....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
、私も無駄には生きなかったのを知って喜んでくれるだろう。
雨などが降りくらして
悒鬱《ゆううつ》な気分が家の中に漲《みなぎ》る日などに、どうかするとお前たちの一....
「星座」より 著者:有島武郎
んやりいった。柿江は、
「うむ」
と事もなげに答えるつもりだったが、自分ながら
悒鬱《ゆううつ》だと思われるような返事になっていた。
「そこにおいとけ」
やや....
「人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
自信だが、僕も骨を曝《さら》すつもりでいるよ」 同志は大変悲観をしていた。が、
悒欝《ゆううつ》ではない。僕達の特務《とくむ》も、このたびが仕納《しおさ》めだと....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
れて、それが、草の中からたった二本ひょろひょろとまとまった気分が行き渡っていた。
悒鬱――十六七の少年には哺めそうもない重い
悒鬱を、見る者はすぐ感ずる事ができた。....
「親子」より 著者:有島武郎
塵もなかった。親しい間のものが気まずくなったほど気まずいものはない。彼はほとんど
悒鬱といってもいいような不愉快な気持ちに沈んで行った。おまけに二人をまぎらすよう....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
自覚がさせる業である。 人は運命の主であるか奴隷であるか。この問題は屡※私達を
悒鬱にする。この問題の決定的批判なしには、神に対する悟りも、道徳律の確定も、科学....
「階段」より 著者:海野十三
てよくする処の外のなにものでもない。僕は四宮理学士が先刻言った言葉を思い出して、
悒欝になった。それにしても四宮氏は二階に居ないのかしら。 「四宮さん!」 「……....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
る。そのような、不可解な軍隊を向うに廻して、東山少尉の部下は、敵慨心を起す前に、
悒鬱にならないわけにゆかなかった。 向うの集団は、二手に別れた。一隊は、局舎の....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
しなかった。 そして彼の胸中には、事件を解決するたびに経験するあの苦が酸っぱい
悒鬱が、また例の調子で推し騰ってくるのであった。....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
の変に次いで、西郷|起つとの報が東京に達すると、政府皆色を失った。大久保利通は、
悒鬱の余り、終夜|睡る事が出来なかったと云う。そして自ら西下して、西郷に説こうと....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
女探偵の
悒鬱 「離魂の妻」事件で、検事六条子爵がさしのばしたあやしき情念燃ゆる手を、とも....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
ではなかったし、一方僕は前にも述べたように、この艇内に青春を鋳潰すと決ったことの
悒鬱さで、機嫌はよくなかったので、魚戸と喋ることは僕の方からも避けていたといえる....