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「悔恨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悔恨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
ばかりだった。僕はその時三人の夫に手代の鼻を削ぎ落した後《のち》、ダアワの処置は悔恨《かいこん》の情のいかんに任《まか》せるという提議をした。勿論誰もダアワの鼻....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
生きるものである。しかし我我人間は過去や未来にも生きなければならぬ。と云う意味は悔恨や憂慮の苦痛をも甞《な》めなければならぬ。殊に今度の大地震はどの位我我の未来....
或る女」より 著者:有島武郎
ていると自分の過去や現在が手に取るようにはっきり考えられ出した。そして冷ややかな悔恨が泉のようにわき出した。 「間違っていた……こう世の中を歩いて来るんじゃなか....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
がない。自分もなぜ早く池を埋めなかったか、取り返しのつかぬあやまちであった。その悔恨はひしひし胸にこたえて、深いため息をするほかはない。 「ねいあなた、わたしが....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
以外の水でことごとく無駄に帰したのである。 自分はこの全滅的荒廃の跡を見て何ら悔恨の念も無く不思議と平然たるものであった。自分の家という感じがなく自分の物とい....
クララの出家」より 著者:有島武郎
次の瞬間にクララは錠のおりた堂母の入口に身を投げかけて、犬のようにまろびながら、悔恨の涙にむせび泣く若いフランシスを見た。彼女は奇異の思いをしながらそれを眺めて....
去年」より 著者:伊藤左千夫
要なもの好きをするのがそれだ。 この徹頭徹尾矛盾した僕の行為が、常に僕を不断の悔恨と懊悩とに苦しめるのだ。もっとも僕の今の境遇はちょうど不治の病いにわずらって....
階段」より 著者:海野十三
に無かった。僕はその場に崩れるようにへたばった。 其の夜、下宿にかえった僕が、悔恨と魅惑との間に懊悩の一夜をあかしたことは言うまでもない。翌日はたとえ先生との....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
永先生からこの軽々とした評言を聞くことが出来て喜んだのは当然です。それでも多少の悔恨を持って家に帰りました。いやまだ少し話の先があるのですよ。 其の翌日のこと....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
なりきれなかったのだ。棄てられてしまうと、彼女はやっと目が覚めた。貞操を弄ばれた悔恨が、彼女の小さい胸に、深い深い溝を刻みこんだ。それからというものは、彼女は人....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
である。それを自らの手によって行っている小山すみれの顔は、始めと同じく無表情で、悔恨《かいこん》の色もなければ憎悪《ぞうお》の気も見えない。 とうとう赤見沢博....
」より 著者:海野十三
郎さんが、博士になりなさるか。……」 と、老婆は稲田老人と目を見合わせて、深い悔恨の心もちだった。お里の今の婿の英三は、一向に栄えない田舎医者。老人の腎臓を直....
暗号数字」より 著者:海野十三
て、どうも不思議な自分の行動だった。酔いではなく、麻酔のようにも思う――と帆村は悔恨の体である。 富山駅では大勢の人が下りた。 帆村もぐらぐらする腰をあげて....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
糾疑惑、心の隅の何処かに尚だ残ってる政治的野心の余燼等の不平やら未練やら慚愧やら悔恨やら疑惑やらが三方四方から押寄せて来て、あたかも稲麻竹葦と包囲された中に籠城....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
せども身体は尚少しも動かず、『そうだね』と力無き返事せるのみにて、気乗りせず、尚悔恨の淵に沈む。 やがて、豁然として我に返り、二タ仕掛の綸を、餌入の上に致し、....