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「悠久〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悠久の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
》にも、めりやすやよしこのの声が加わった。ここにはもちろん、今彼の心に影を落した悠久《ゆうきゅう》なものの姿は、微塵《みじん》もない。 「いや、先生、こりゃとん....
富士」より 著者:岡本かの子
リズムを指の腹に感ずる。地の高まりというものは何と心を昂揚さすものであろう。人を悠久に飽かしめない感動点として山は天地間に造られているのであろう。 火の端《は....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
がい冬は眠り、短い春は耕す――そういう世界にこそユートピアはあるのだ。 君よ、悠久うごかぬ雲に覆われた魔境「|天母生上の雲湖《ハーモ・サムバ・チョウ》」ととも....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
王道と西洋の覇道の、いずれが世界統一の指導原理たるべきかが決定するのであります。悠久の昔から東方道義の道統を伝持遊ばされた天皇が、間もなく東亜連盟の盟主、次いで....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
る自然を、動的なものに律動化し、聴き澄している復一を大地ごと無限の空間に移して、悠久に白雲上へ旅させるように感じさせる。 もろもろの陰は深い瑠璃色に、もろもろ....
河明り」より 著者:岡本かの子
く」などという古人の詩を見ても人間現象の姿を、むしろ現象界で確捕出来ず所詮、自然悠久の姿に於て見ようとする激しい意慾の果の作略を証拠立てている。 だが、私は待....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ィエル上人の腸丸が、重要な転回を勤めることになるのであるが、その時はただ、法水が悠久|磅※たるものに打たれたのみで、まるで巨大な掌にグイと握り竦められたかのよう....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ら、これは九月か十月ごろの御歌であろうか。 一首の意は、天を遠くあおぎ見れば、悠久にしてきわまりない。今、天皇の御寿もその天の如くに満ち足っておいでになる、聖....
太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
ことは、何人といえども否定し得ないであろう、君よ今まさに滅亡せんとする我世界は、悠久の過去に於て、すでに幾度も生滅を繰返したのである」 彼はかく述ぶるとともに....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
昇る朝陽に、朱に染めた頭を集めて男体と女体が、この浩遠な眺めを覗きながら、自然の悠久を無言に語り合っている。草薙山の方に近い密林の中に、早春の雄鹿が嬉々と鳴く。....
決闘場」より 著者:岡本かの子
彼女は周囲の樹木や草と一体になって時を経過して行った。彼女は自然そのままだった。悠久の命の流れに寂然と身を委せて居た。国亡びた後の山河に、彼女は独り生き残って居....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
総長室のテーブルの上に置かれ、これを見る世々のイギリス人に、過去の騒擾と、国史の悠久を思い起こさせる物となっている。 内輪の熱意と公衆のひいきに煽られ煽られ、....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
と、どういうものか私は堪らなくなりました。水はしずしずと渚に寄せて青く膨れ上る。悠久な天地は悠久なままで、しかも人を置き去りにして過ぎ去って行く。人はどんどん取....
夕暮の窓より」より 著者:小川未明
い極めて単純な、自然の儘の質朴な生活をつゞけている人がある。頭を上げて見るものは悠久に青い空の色である。淋しく、西の空に沈んでゆく夕日に地平線の紅く色づく眺めで....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
らしいことをしたとき、澄み切った大空や、漫々たる海上を眺めたことがありませんか。悠久無限を想わせるようなものに面すると、私たちの欲望、怒り、知識経験の如何に小さ....