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悠然
「悠然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悠然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
に来て下さい。わたしはこう云うものですから。」
老人は僕と握手した後《のち》、
悠然と一枚の名刺を出した。名刺のまん中には鮮《あざや》かに Lemuel Gul....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
身のこなしで、徐《おもむろ》に体を起しました。すると沙門はさも満足そうに、自分も
悠然と立ち上って、あの女菩薩《にょぼさつ》の画像《えすがた》を親子のものの頭《か....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
が一人、根こぎにしたらしい榊《さかき》の枝に、玉だの鏡だのが下《さが》ったのを、
悠然と押し立てているのを見た。彼等のまわりには数百の鶏が、尾羽根《おばね》や鶏冠....
「河童」より 著者:芥川竜之介
、一番後ろの席にいる身《み》の丈《たけ》抜群の巡査です、巡査は僕がふり向いた時、
悠然《ゆうぜん》と腰をおろしたまま、もう一度前よりもおお声に「演奏禁止」と怒鳴《....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
見ると、宗俊は、いつの間にか彼の煙管入れをひきよせて、その中から煙草をつめては、
悠然と煙を輪にふいている。
「おい、おい、それは貴公の煙草入れじゃないぜ。」
「....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
私の魔術を褒《ほ》めそやしました。が、私はやはり椅子《いす》によりかかったまま、
悠然と葉巻の煙を吐いて、
「いや、僕の魔術というやつは、一旦欲心を起したら、二度....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
その無礼の次第をお明《あか》し下さる訣《わけ》には参りますまいか?」
桃太郎は
悠然《ゆうぜん》と頷《うなず》いた。
「日本一《にっぽんいち》の桃太郎は犬猿雉の....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
くほん》と出席簿とを抱えた毛利《もうり》先生は、あたかも眼中に生徒のないような、
悠然とした態度を示しながら、一段高い教壇に登って、自分たちの敬礼に答えると、いか....
「路上」より 著者:芥川竜之介
か。」
清水《しみず》がこう尋《たず》ねたのを潮《しお》に、近藤《こんどう》は
悠然とマドロス・パイプの灰をはたきながら、大学の素読《そどく》でもしそうな声で、....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
て云えば、君の説は正しいでしょう。」
本間さんの議論が一段落を告げると、老人は
悠然とこう云った。
「そうしてその仮定と云うのは、今君が挙げた加治木常樹《かちき....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
れは?」
「私《わたくし》は鍼医《はりい》です。」
髯のある男はためらわずに、
悠然と参謀の問に答えた。
「次手《ついで》に靴《くつ》も脱《ぬ》いで見ろ。」
....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
・ヘンリイ・バレット・アアント・ユウ?」
半三郎はびっくりした。が、出来るだけ
悠然《ゆうぜん》と北京官話《ペキンかんわ》の返事をした。「我はこれ日本《にっぽん....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
持とうと云うんじゃなし、ちっとも窮屈な事はありません。」 机の前に鉄拐胡坐で、
悠然と煙草を輪に吹く。 「しかし、君、その自から、何だろう。」 とその何だか、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
屋の分を倍額に、少し内へ引込んだのである。ここにおいて、番町さんの、泉、はじめて
悠然として、下足を出口へ運ぶと、クローク(預所)とかで、青衿が、外套を受取って、....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。池の水の青く澄んだのに、葉ざしの日加減で、薄藍に、朧の銀に、青い金に、鯉の影が
悠然と浮いて泳いで、見ぶつに交った。ひとりお桂さんの姿を、肩を、褄を、帯腰を、彩....