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患う
「患う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
患うの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「職工と微笑」より 著者:松永延造
「厭な人間だ!」私の聴き手は斯う私を舌打ちで鞭打つだろう。けれど、私は一人の病み
患う子供の様なものである。肉を蝋にして燃しながら、空想の焔の糧にする程、静かに座....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
でない。事実はその正反対で、恐らく日本広しと雖も北九州の青年ほど天性、国家社会を
患うる気風を持っている者はあるまいと思われる。そうした事実は、明治、大正、昭和の....
「雷」より 著者:海野十三
帯びていた。 「……ああ、お忘れになったも無理はない。私は五年前からひどい腎臓を
患うたもので、酒と煙草とを断ち、身体は痩せるし顔色は青黒くなるし、おまけに白髪が....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
先ず、自分が幾何補助する事が出来るかを考えます。 どうしたら怒らせまいかと思い
患う前に先ずその一つ先の笑わせる事を考えます。 彼等が生活というものを真剣に考....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
無上の満足がその間に湧き出る。天地間の宝蔵は無限であるから、彼は毫も材料の枯渇を
患うるには及ばない。汲めども尽きぬ智慧の泉、採れども尽きぬ思想の宝、世にも幸福な....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ごかしているうちに、わけても半平と才蔵が御執心なのである。 戦後派の面々は思い
患うような手間のかかったことはしない。友達の思惑に気兼ねをするようなヒネクレたと....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
て、今はめったに顔を合わさぬ存在であるということ、又、結婚の贈り物にあれかれ思い
患うほど心をかけているということ、いわば、離れていても彼の心に棲んでいるというこ....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
いわく、「この言は士君子の言うべきにあらず。すでにみずから学者と唱えて天下の事を
患うる者、豈《あに》無芸の人物あらんや。芸をもって口を糊《こ》するは難きにあらず....
「迷信解」より 著者:井上円了
ものあり。ある日その寺に大法会ありて、隣村の老婆も参詣せしに、住職の小児の歯痛を
患うるものを呼びて、その頬に手をあて、一心に『アビラウンケンソワカ』といえる呪文....
「おりき」より 著者:三好十郎
のカシバミの叢の方へ消えて行く青年の後姿をチラチラ見る) 百姓 うん、ありゃ気で
患うと言う人だ。しっかりもんだが、カンがきつ過ぎらあ。おやじと入れ代ってりゃ丁度....
「孔子」より 著者:和辻哲郎
偃す。(同、一九) など、すべて孔子は皮肉なしに親切に教えている。前にあげた盗を
患うる問答もここに並んでいるのである。これら一切の問答を通じて、季康子が晩年の孔....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
病になったのじゃあないかしらん、私は元来肺が強いつもりであったがなぜこんな病気を
患うのか知らんという考えも起ったですが出血はどうも止らない。しかしそういう時にジ....
「法然行伝」より 著者:中里介山
「唯信鈔《ゆいしんしょう》」である。 元久二年八月法然が瘧病《ぎゃくびょう》を
患うたことがあった。月輪殿が驚いて医者を呼ばれて様々療治を尽されたけれども治らな....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
。また外からもこれを当り前と認めていた。しかし今日のごとく、男子の多くがまだ公を
患うるの余裕なく、純然たる個人生活に没頭して生きねばならぬという世の中になると、....