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「悦ばせる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悦ばせるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
一つ面白いものを見たこともない哀れな老人《としより》を、そうした盛り場に連出して悦ばせることが、お島に取っては、自分の感激に媚《こ》びるような満足であった。 ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
くなっていた私にとり、じつに天来の助け舟のようなものであった。では、それほど私を悦ばせる折竹とはいかなる人物かというに、彼は鳥獣採集人としての世界的フリーランサ....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
《せいぼ》の景物に町の商家で出す暦附の板絵が去年のやその前の年のまで、子供の眼を悦ばせるために貼《はり》附けて置いてある。 「でも、貴方だって、小諸言葉が知らず....
刺繍」より 著者:島崎藤村
置くような夫よりは、意気地は無くとも親切な若者を悦《よろこ》んだであろう。それを悦ばせるようにしたものは、誰か。そういうことを機会に別れようとして、彼女の去る日....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
できる場合ではないですけれど、少しは話もしたかったし、それにわたしはおとよさんを悦ばせる話も持っていたのです、溜りに溜った思いが一時に溢れたゆえか、ただおどおど....
三人の双生児」より 著者:海野十三
いことだった。 妾はそのほかにも、舌切雀の遊戯を踊ったりして寝ているはらからを悦ばせることをやったけれど、必ずその途中で母の命令が出て、妾は庭へ下りると立葵の....
河明り」より 著者:岡本かの子
、もっと教えて頂戴」と私は云った。 すると、娘ははじめて自分の知識が真味に私を悦ばせるらしいのに、張合いを感じたらしく、口を継いで語った。 「隅田川から芝浜へ....
伸子」より 著者:宮本百合子
婚して以来、初めてのことであった。佃は興にのることなど、楽しい不意打ちであいてを悦ばせる計画をするということなどない人であった。よそへ行っても、予定の時間に帰る....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
、大沢をはさんで、大宮口に近い森林まで、純美なる白石楠花の茂っていることは、私を悦ばせる。安政六年版の玉蘭斎貞秀画、富士登山三枚続きの錦絵には、「小御岳、花ばた....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
、商法の目的を附け、何んな所へでも開店|為ようという事に成りましたので、美代吉に悦ばせる心算ゆえ大めかしで、其の頃|散髪になりましたのは少なく、明治五年頃から大....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
れて直次の家を出た。最早十月らしい東京の町の空がおげんの眼に映った。弟の子供達を悦ばせるような沢山な蜻蛉が秋の空気の中を飛んでいた。熊吉が姉を連れて行って見せた....
一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
にはチャンドさんを、ちがう人かと思ってたわ。口説き上手で、パドミーニのような娘を悦ばせるかわりに、かならずただじゃ済ませない。よく、世間にあるあの類型ね?」 「....
豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
おご》った心からではないが、あんまり群集の粗野なのに驚かされた。楽声を聴いて心を悦ばせるには、上品でなくてはならないというのではないが、いかにも穢苦《むさくる》....
挿話」より 著者:徳田秋声
てやしない」道太は苦笑した。 「そう、少し喇叭の方かもしれん」 「家のやつも人を悦ばせるのは嫌いな方じゃないけれど」 「庄ちゃん(お絹たちの弟)が讃めていたから....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
て、 愛らしく賢しげに、しかも気高く、 世辞のある礼を言った。実に 老人の目をも悦ばせる、若い、美しさだった。 ファウスト でもその時はまだ十ばかりで。....