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悧
「悧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片信」より 著者:有島武郎
ある』にしても、そのために心の髄まで硬化していないかぎり、狐《きつね》のごとき怜
悧《れいり》な本能で自分を救おうとすることにのみ急でないかぎり、自分の心の興奮を....
「星座」より 著者:有島武郎
隊脚絆《へいたいきゃはん》をはいていた。二十四五とみえる男で支那人のような冷静で
悧巧な顔つきをしていた。それが手ごろの風呂敷包を二枚の板の間に挾んで、棒を通して....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
遅うして本当は十一、それでも奥山で育ったから村の言葉も碌《ろく》には知らぬが、怜
悧《りこう》な生れで聞分《ききわけ》があるから、三ツずつあいかわらず鶏卵《たまご....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
なきゃ馬鹿だ。もっとも、己のような素一歩と腐合おうと云う料簡方だから、はじめから
悧怜でないのは知れてるんだ。馬鹿は構わん、どうせ、芸者だ、世間並じゃない。芸者の....
「親子」より 著者:有島武郎
いるようだった。 「うまいことに行った。矢部という男はかねてからなかなか手ごわい
悧巧者だとにらんでいたから、俺しは今日の策戦には人知れぬ苦労をした。そのかいあっ....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
ざいます。鯉も鮒も半分|鰭を出して、あがきがつかないのでございますから。」 「怜
悧な奴だね。」 「馬鹿な人間は困っちまいます――魚が可哀相でございますので……そ....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
か、俺がじゃ、ある手段として旅行するに極っとる事を知っておる。汝は知らいでも、怜
悧なあれは知っておる。汝とても、少しは分っておろう。分っていて、その主人が旅行と....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
思うがね。」 爺は股引の膝を居直って、自信がありそうに云った。 「うんや、鳥は
悧巧だで。」 「
悧巧な鳥でも、殺生石には斃るじゃないか。」 「うんや、大丈夫でが....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
しより、渠は活計の趣向を変えつ。すなわち先のごとくにして軒ごとを見舞いあるき、怜
悧に米塩の料を稼ぐなりけり。 渠は常にものいわず、極めて生真面目にして、人のそ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
葉のごとし。 「あぶない、これこれ、話がある、まあ、ちょっと静まれ。 おお、怜
悧々々、よく言うことを肯くな。 何じゃ、外じゃないがな、どうだ余り感心したにつ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
は年齢が二つ三つ若く、顔立はあまり良くもありませぬが、眼元の愛くるしい、なかなか
悧溌な児でございました。身元は長谷部某と呼ぶ出入りの徒士の、たしか二|番目の娘だ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
し人なりし。小女は浅草清島町という所の細民の娘なり。形は小さなれど年は十五にて怜
悧なり。かの事ありしのち、この家へ小間使というものに来りしとなり。貧苦心配の間に....
「多神教」より 著者:泉鏡花
薄情ものに見せしめに、命の咒詛を、貴女様へ願掛けさしゃった、姉さんは、おお、お怜
悧だの。いいお娘だ。いいお娘だ。さて何とや、男の生命を取るのじゃが、いまたちどこ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
た唄う。 ええ、その苺という紅い実も、火をつけて、火をつけて、とうつくしい、怜
悧な娘が教えたのかも知れないのに……耳を塞ぎ、目を瞑って、転んだか、躓いたか、手....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
が、断れたら食かねない勢で、曳張り曳張りしたもんだから、三日めあたりから――蛇は
悧巧で――湯のまわりにのたっていて、人を見て遁げるのに尾の方を前へ入れて、頭を段....