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悪意
「悪意〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悪意の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
た顔。彼は、マスクに口を蔽《おお》った、人間よりも、動物に近い顔をしている。何か
悪意の感ぜられる微笑《びしょう》。
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仲店の片側。....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
たお芳を時々尻目に窺《うかが》ったりしていた。が、この新聞紙の包みを見ると、更に
悪意のある表情をした。それは又実際|文化竈《ぶんかかまど》や華奢《きゃしゃ》な皿....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ろう。」
馬琴はまた、考えつづけた。
「己を不快にするのは、第一にあの眇が己に
悪意を持っているという事実だ。人に
悪意を持たれるということは、その理由のいかんに....
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
× ×
僕はこの話の終った時、Nさんの顔を眺めたまま多少
悪意のある言葉を出した。
「清太郎?――ですね。あなたはその人が好きだったんでし....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
も》らしたものです。微笑を、――こう云ってもそれは北条屋《ほうじょうや》夫婦に、
悪意があったのではありません。わたしのように四十年間、悪名《あくみょう》ばかり負....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
。が、手をやったポケットの中には生憎《あいにく》一本も残っていない。彼はいよいよ
悪意のある運命の微笑《びしょう》を感じながら、待合室の外に足を止《と》めた物売り....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ックは物質主義者ですから、死後の生命などを信じていません。現にその話をした時にも
悪意のある微笑を浮かべながら、「やはり霊魂というものも物質的存在とみえますね」な....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
うな心もちがした。いや、怪しいと云ったのでは物足りない。私にはその顔全体が、ある
悪意を帯びた嘲笑を漲《みなぎ》らしているような気さえしたのである。
「どうです、....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
その証拠にはその時自分が、丹波先生へ浴びせた拍手は、同時に毛利先生へ、自分たちの
悪意を示そうと云う、間接目的を含んでいたからである。今自分の頭で解剖すれば、その....
「葱」より 著者:芥川竜之介
スムに微笑を禁じ得ないのは事実である。が、おれの微笑の中には、寸毫《すんごう》も
悪意は含まれていない。お君さんのいる二階には、造花の百合《ゆり》や、「藤村《とう....
「猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
、熟柿とは特に断《ことわ》っていない。最後に青柿を投げつけられたと云うのも、猿に
悪意があったかどうか、その辺《へん》の証拠は不十分である。だから蟹の弁護に立った....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
すさのお》は味方の若者たちと共に、とうとう敵の手に生捉《いけど》られた。日頃彼に
悪意を抱いていた若者たちは、鞠《まり》のように彼を縛《いまし》めた上、いろいろ乱....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
来を流れる闇ににじんで、朦朧《もうろう》とあったのに関らず、何とも云いようのない
悪意の閃きを蔵しているように見えました。新蔵は思わず拳を握って、お敏の体をかばい....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
らった。それは僕の血肉には幸か不幸か滲み入らなかった。が、日露戦争中の非戦論者に
悪意を持たなかったのは確かにヒサイダさんの影響だった。 ヒサイダさんは五、六年....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
戦いを始めるのを眺めたほど神経的疲労に陥っていた。僕はこう云う彼等の不幸に残酷な
悪意に充ち満ちた歓びを感じずにはいられなかった。 或東かぜの強い夜、(それは僕....