悪疫[語句情報] » 悪疫

「悪疫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悪疫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒猫」より 著者:佐々木直次郎
いに――ごくゆっくりと――言いようのない嫌悪の情をもってその猫を見るようになり、悪疫《あくえき》の息吹《いぶき》から逃げるように、その忌《い》むべき存在から無言....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
も溶け去ってしまうだろうと――まったく聴いてさえも慄然《ぞっ》とするような、ある悪疫の懼《おそ》れを抱くようになってしまった。そうして、そのしぶとい相克が、地峡....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
詣人のすがたを見た。伝説のかむろ蛇よりも、目前のコロリが恐ろしかったのであろう。悪疫の大流行を来たした年だけに、秋とは名ばかりで残暑が強かった。その八月の末であ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
密の調和を破るものがありそうな、妙に不安定な空気のあることだけは確かだった。その悪疫のような空気は、明治三十五年に第二の変死事件が起った折から萌しはじめたもので....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
る。白人というのは白癩であり、古久美というのは黒癩であった。 「亜剌比亜の沙漠に悪疫あり、奔馬して一瞬に人体を壊る。マホメットの時終滅す」 風論篇に記されてあ....
ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
。これは医者が読んだらさだめておもしろいものであろうと思う。この中には種々多様の悪疫の症状が混合してしるされているそうである。この一節はいわゆる空気伝染をなす病....
災難雑考」より 著者:寺田寅彦
は繁盛のホルモン、災難は生命の醸母であるとすれば、地震も結構、台風も歓迎、戦争も悪疫も礼賛に値するのかもしれない。 日本の国土などもこの点では相当恵まれている....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
確かに専制はやはり専制である。傑出したる圧制者の下にも腐敗はある。しかし道徳上の悪疫は破廉恥なる圧制者の下において更に嫌悪《けんお》すべきものとなる。かかる治世....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
国の船は必ず一度は、其処へ泊まるのでございます。 とは云え気候は極わめて熱く、悪疫四方に流行し、加之土人は兇悪惨暴、その上陸地は山ばかりで、取り処の無い島とも....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
郎は、総身にすくみ上がるような戦慄を覚えたのである。 もしやしたら、この軍船は悪疫船ではないか……。 しかし、そう気づいた時は、すでに遅かった。後檣の三角帆....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
分から他に、外らそうとして利用したに過ぎない。ねえ支倉君、群衆心理の波及力には、悪疫以上のものがあると云うじゃないか。所が、その病源と云うのが、有名なツェルネル....
廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
一 六月末の新聞にこんな記事が発見された。今年は暑気が強く、悪疫が流行する。これを予防するには、家ごとに赤飯を炊いて食えと言い出した者がある....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
浮世絵はかくして漸次滅亡に近《ちかづ》けり。北斎は嘉永二年に死し広重は安政五年の悪疫に斃《たお》れ、国芳は文久元年を以て世を去るや、江戸の浮世絵は元治元年|古稀....
本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
れが依憑なり襲来なりを防ぐことが出来なかったのである。加うるにこの時代にあっては悪疫の流行も思わぬ怪我も、この死霊や凶霊の為す仕業と考えていたのであるから、その....
穀神としての牛に関する民俗」より 著者:中山太郎
ているが、同じ作法なので省略した。 注連縄を牛血に浸し、それを村の入口に張って悪疫の襲来を防ぐことや、生ける牛を建築の犠牲として埋めることなど、書けば牛のよだ....