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悪病
「悪病〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悪病の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
あった。それが、十四郎の妻の滝人である。彼女は、一種奇蹟的な力強さでもって、あの
悪病の兆《きざし》にもめげず、絶えず去勢しようと狙ってくる、自然力とも壮烈に闘っ....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
だらけの醜い顔を振りまわして行くと、案の定人に好かれた。 その頃、同じ城内に、
悪病の為に鼻の欠け落ちた男がいて、しかもこの男は、かなりの艶福を得たかの如く言い....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
る!」 「それはどなたでございましょう?」 「纐纈城の城主よ!」 「仮面の悪魔!
悪病の持ち主! あれは人間とは云われません」 「……俺も最後にはあそこへ行こう。....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
年安政二年の三月である。 流言。流言には相違ないが、その三月は実に不吉な月で、
悪病が流行するか、大風が吹くか、大雨が降るかないし大饑饉が来るか、いずれ天地の間....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
けて木曾路を通過した長州侯をこの宿場に迎えることもできなかったころだ。おりからの
悪病流行で、あの大名ですら途中の諏訪に三日も逗留を余儀なくせられたくらいのころだ....
「海底都市」より 著者:海野十三
はするすると入ってしまって、僕は捕《つか》まえそこなった。 「二十年前の人間は、
悪病と栄養失調と非衛生とおどろくべき無知無能のために、このような衰弱《すいじゃく....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
てよく現わさるる一種の感情を、彼の心に吹き込んでいたのである。
けれども、羊の
悪病は牧人を後《しり》えに退かしむるであろうか。いな。とはいえ何という羊であるか....
「夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
モノのホコラを拝みにきて、ホコラの前で死んでいた者もあった。 「尊いヒメの神よ。
悪病を払いたまえ」 長者の門前へきて、こう祈る者もあった。 長者の邸も再び日....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
年ぶりに老父を訪れたときに、いきなり一万円貸してやろうと云いだした時、父の顔には
悪病にかかった薄笑いがついていて、それをはぐと、下には死んだ顔、青い死神の顔があ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
いますとも」――そういった老女の醜さも、他の老女に負けなかった。上の歯茎がこれも
悪病でほとんど腐って取れていた。で、言葉が不明瞭であった。
「よくまあこれだけ詳....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
ね、仕様がないじゃないか。殊にYなんかというあゝ云った所謂道徳家から見ては、単に
悪病患者視してるに堪えないんだね。機会さえあればそう云った目障りなものを除き去ろ....
「妾宅」より 著者:永井荷風
えない悲壮の神秘が潜《ひそ》んでいると断言しているのである。冬の闇夜《やみよ》に
悪病を負う辻君《つじぎみ》が人を呼ぶ声の傷《いたま》しさは、直ちにこれ、罪障深き....
「消えた美しい不思議なにじ」より 著者:小川未明
てきました。 「その後の下界のようすはどんなであるか。」と、姉はききました。 「
悪病が流行しています。その伝染の速さといったら風のようであります。この分なら人間....
「赤い土の壺」より 著者:田中貢太郎
ら威勢ありしに、ためしすくなき大罪人のむくいにや、幾程なく永禄四年に義竜たちまち
悪病を煩ひ、死去しけり」と、云ってある。....
「松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
芸を見聞する能わず、宝山空手の思い徒に遺憾を齎らして還る。其の翌十八年の夏酷暑と
悪病を避けて有馬の温泉に浴す。端なく会人無々君と邂逅して宿を倶にす。君は真宗の僧....